薄・芒(読み)すすき

精選版 日本国語大辞典 「薄・芒」の意味・読み・例文・類語

すすき【薄・芒】

〘名〙
① イネ科の多年草。各地の山野に群生する。稈と葉は根もとから群がって生え、大きな株となる。高さ一~二メートル。葉は長さ六〇~九〇センチメートルの線形、先はとがり縁に細い鋸歯(きょし)がある。下部は鞘(さや)となって稈を包む。秋、茎頂に十数本の短い枝を分け、長さ一五~三〇センチメートルのほぼ円錐形で黄褐色の花穂をつける。花穂には節ごとに無柄と有柄の小穂を双生。小穂は長さ五~七ミリメートルの披針形で、基部にそれとほぼ同長の白毛を多数生じる。芒(のぎ)は小穂の約三倍に達する。茎・葉で屋根をふき、根茎は利尿薬になる。秋の七草の一つ。「箋注和名抄‐一〇」に「薄〈略〉按古謂草叢生者、為須須岐、非一草之名」とあるように、古くは葦、荻(おぎ)などをも含めて総称した。おばな。かや。《季・秋》
書紀(720)仁徳六二年五月(前田本訓)「土を堀ること丈余(ひとつゑあまり)、草(かや)を以て其の上を蓋(ふく)。敦(あつ)く茅萩(ススキ)を敷きて」
※枕(10C終)六七「秋の野のおしなべたるをかしさはすすきこそあれ」
② 紋所の名。①の穂と葉とを組み合わせて図案化したもの。薄の丸、雪輪に薄、抱き花薄などがある。
③ 襲(かさね)の色目の一つ。表は蘇芳(すおう)で、裏地青色のもの。〔満佐須計装束抄(1184)〕
④ 遊里などで、芸娼妓の身揚がりをいう。
洒落本・戯言浮世瓢箪(1797)二「又は或時の身あがり、無花(ススキ)の情にまねかれて」
[補注]穂は褐色で後、白色に変わる。その穂のさまが獣の尾に似ているところから「尾花(おばな)」ともいわれる。「万葉集」では「すすき」「おばな」ともに用例が認められる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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