薙髪(読み)チハツ

デジタル大辞泉 「薙髪」の意味・読み・例文・類語

ち‐はつ【×薙髪】

[名](スル)髪を切ること。髪をそり落とすこと。剃髪ていはつ
「―して宮を脱し」〈露伴運命

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「薙髪」の意味・読み・例文・類語

ち‐はつ【薙髪】

〘名〙 (「薙」は剃る意) 髻(もとどり)を切ること。また、頭髪をそること。法体になること。剃髪(ていはつ)
※峨眉鴉臭集(1415頃)送播叔英皈播陽叙「薙髪於甘露之室
※読本・昔話稲妻表紙(1806)五「判官貞国薙髪(チハツ)して桂之助に家をゆづり」

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改訂新版 世界大百科事典 「薙髪」の意味・わかりやすい解説

薙髪 (ちはつ)

頭髪をそること。僧尼となるときに行う。薙はそる,切り除くの意。剃髪落飾に同じ。〈かしらそり〉〈かしらおろし〉〈おぐしおろし〉などともいう。入道得度して僧尼となるには,煩悩を断ち切るため髪をそり落とし,仏弟子の生活に入るには,世俗の虚飾をさけるため身の飾りを落とす。落飾は王侯貴族が出家する場合にいう。また薙髪はとくに髻(もとどり)を切ることを指している。《今昔物語集》巻十九に〈道心堅ク発(おこり)ニケレバ,髻ヲ切テ法師ト成ニケリ,名ヲ寂照ト云フ〉(参河守大江定基出家語)などとあるのがそれである。インドではヒンドゥー教行者が髪や髭をのばしほうだいにしているのに対し,仏教の僧尼は髪髭をそり落とした姿である。出家して僧尼となることを剃髪染衣(ぜんね)(剃髪し,色に染まった衣を身にまとう)という。このように僧は剃髪が本来の姿であるが,なかには蓬髪の僧もみられ,毛坊主(けぼうず)といわれるものもいた。得度の儀式でいったん剃髪しても,そのご髪をのばしている者が多いのが,現代の僧侶風俗である。
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