藤岡勝二(読み)ふじおかかつじ

精選版 日本国語大辞典 「藤岡勝二」の意味・読み・例文・類語

ふじおか‐かつじ【藤岡勝二】

言語学者。京都出身。アルタイ語研究日本語ウラル‐アルタイ語の言語構造の類似指摘訳書満文老檔」「満州語辞典」等。明治五~昭和一〇年(一八七二‐一九三五

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デジタル大辞泉 「藤岡勝二」の意味・読み・例文・類語

ふじおか‐かつじ〔ふぢをか‐〕【藤岡勝二】

[1872~1935]言語学者。京都の生まれ。東大教授。ウラル‐アルタイ諸語の共通特徴が日本語にも見られることを指摘。また、満州語を研究。著「国語研究法」など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「藤岡勝二」の意味・わかりやすい解説

藤岡勝二
ふじおかかつじ

[生]明治5(1872).8.12. 京都
[没]1935.2.28. 東京
言語学者。 1897年東京帝国大学博言学科卒業。 1901~05年ドイツ留学,05年東京帝国大学講師。すぐ助教授になり,10年教授,12年文学博士。 33年定年退官,東京帝国大学名誉教授。一般言語学,印欧語比較文法なども講じたが,特に満州語を中心にアルタイ諸語を研究し,論文『日本語の位置』 (1908) で日本語とウラル=アルタイ諸語の言語構造上の類似点を指摘し,日本語系統論に大きな影響を与えた。ほとんど遺稿の形であるが,『満文老 檔 (まんぶんろうとう) 』の日本語訳 (39) など,訳書を中心とする業績がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「藤岡勝二」の意味・わかりやすい解説

藤岡勝二
ふじおかかつじ
(1872―1935)

言語学者、文学博士。京都市の生まれ。1897年(明治30)東京帝国大学文科大学博言学科卒業。1901~1905年(明治34~38)言語学研究のためドイツに留学。帰国後、東京帝国大学文科大学助教授となり、言語学講座を担当。1910年同大学教授、1933年(昭和8)定年退官。日本語の系統に関し、音声形態・統語におけるウラル・アルタイ諸語の共通特徴が日本語の特徴と一致することを指摘し、日本語がウラル・アルタイ語に属すると主張した。とくに満州語の研究に力を尽くし、古い満州語の文献『満文老檔(まんぶんろうとう)』を邦訳した。

小泉 保 2018年10月19日]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「藤岡勝二」の解説

藤岡勝二 ふじおか-かつじ

1872-1935 明治-昭和時代前期の言語学者。
明治5年8月12日生まれ。34年ドイツに留学。43年母校東京帝大の教授となる。日本語とウラル-アルタイ諸語との類似点を指摘。満州語の研究につくし,古文献「満文老档(ろうとう)」を翻訳。昭和10年2月28日死去。64歳。京都出身。

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世界大百科事典(旧版)内の藤岡勝二の言及

【日本語】より

…さらに大野晋は《日本語の起源》(1957)の中で226の比較例を提示したが,語中での音声対応が確立できない状態にある。 藤岡勝二は《日本語の位置》(1908)という講演の中で,語頭に二つ以上の子音が現れない,語頭にr音がこない,母音調和がある,冠詞がない,文法性がない,動詞変化では語幹に接辞が付加される,動詞の接尾辞が多い,代名詞変化も語幹に接辞が付加される,後置詞を用いる,所有は〈誰々に何々がある〉という表現を用いる,奪格形〈より〉で形容詞を比較する,疑問文の終りに問いを示す語がくる,接続詞が少ない,形容詞が名詞の前に立つ,など14項目につきアルタイ諸語(モンゴル諸語,チュルク諸語,ツングース諸語)と日本語の特徴が一致すると説明した。フィンランドのアルタイ語学者G.J.ラムステッドも《アルタイ諸語と日本語との比較》(1924)で同じ見解を表明している。…

※「藤岡勝二」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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