朝日日本歴史人物事典 「藤本荘太郎」の解説
藤本荘太郎
生年:嘉永2.4(1849)
明治期の機業家。手織込緞通の創始者藤本庄左衛門の子長治郎の長男として,和泉国堺車之町(堺市)に生まれた。かねてから,繊維製品の輸入を防ぐことを志し,内国勧業博覧会,万国博覧会に緞通を出品し,堺緞通の名を国内外に広め,欧米への緞通の輸出に成功した。輸出向け緞通のための規格の変更,西欧の家屋への適応性の改良を実施し,編み込み時の切断に際して出る屑糸の削減などの技術の改良に成功した。また,麻,絹,毛などによる緞通の新製品の開発にも尽力し,堺緞通の黄金時代を主導した。堺緞通商組合組合長,堺商業会議所会頭などを歴任。地場産業発展,輸出振興に努力した。堺緞通の発展は藤本の努力に負うところが大きい。<参考文献>角山幸洋『堺緞通』,瀬川光行『南海英傑伝』
(松本貴典)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報