藤沢浅二郎(読み)ふじさわあさじろう

改訂新版 世界大百科事典 「藤沢浅二郎」の意味・わかりやすい解説

藤沢浅二郎 (ふじさわあさじろう)
生没年:1866-1917(慶応2-大正6)

新派俳優,劇作者。京都生れ。雑誌《活眼》や《東雲(しののめ)新聞》の記者をしたのち,1891年堺で川上音二郎書生芝居の旗揚げに俳優兼作者として参加,《板垣君遭難実記》《経国美談》《日清戦争》ほかの台本を執筆した。また《金色夜叉(こんじきやしや)》の貫一,《己が罪》の塚口などを演じ,新派の幹部俳優として活躍した。1908年私財を投じて東京俳優養成所(のち東京俳優学校)を創設後進の育成にも尽力した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「藤沢浅二郎」の意味・わかりやすい解説

藤沢浅二郎【ふじさわあさじろう】

新派俳優。京都生れ。初め新聞記者。1891年川上音二郎の書生芝居結成に作者兼俳優として参加,以後約20年間川上を助けた。新派全盛の本郷座時代幹部俳優として活躍,《金色夜叉》《不如帰(ほととぎす)》などが当り芸。1908年東京俳優養成所を創設。晩年映画に転じた。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「藤沢浅二郎」の意味・わかりやすい解説

藤沢浅二郎
ふじさわあさじろう

[生]慶応2(1866).4.25. 京都
[没]1917.3.3. 東京
新派俳優。初め雑誌,新聞記者。 1891年堺の川上音二郎による書生芝居の旗揚げに参加,93年川上とともに上京。立役,女方として舞台に立つかたわら,『板垣君遭難実記』『威海衛陥落』『金色夜叉』その他の作者として,川上が没するまで補佐した。 1904年9月高田実,河合武雄らと一座を組み,いわゆる本郷座時代を現出。 08年 11月男子のための東京俳優養成所を開き多くの新人を養成。『金色夜叉』の貫一,『侠艶録』の瀬尾など当り役は多く,新派の重鎮であったが,14年4月明治座の公演中に発狂,晩年は不遇に終った。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「藤沢浅二郎」の意味・わかりやすい解説

藤沢浅二郎
ふじさわあさじろう
(1866―1917)

俳優。筆名紫水(しすい)。京都生まれ。新聞記者から転じて1891年(明治24)に川上音二郎の一座に加わり、以来女方や脇役(わきやく)を勤め、作者としても貢献した。1905、1906年(明治38、39)には伊井蓉峰(ようほう)、高田実らと共演して新派全盛時代の主要俳優の1人と目され、『金色夜叉(こんじきやしゃ)』の貫一などを演じた。1908年11月、私費を投じて東京俳優養成所(1910年に東京俳優学校と改称)を設立。その試演会は斬新(ざんしん)な演目と新鮮な演技で注目を集めたが、経営難のため1911年には閉校するに至り、失意のうちに浅草今戸で没した。

[松本伸子]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

朝日日本歴史人物事典 「藤沢浅二郎」の解説

藤沢浅二郎

没年:大正6.3.3(1917)
生年:慶応2.4.25(1866.6.8)
明治大正期の新派俳優,作者。京都生まれ。京都で雑誌『活眼』,大阪で『東雲新聞』の記者をしたころ川上音二郎と知りあい,明治24(1891)年川上の書生芝居の旗揚げに俳優兼作者として参加,「板垣君遭難実記」「日清戦争」などの台本を書き,川上一座の副将として活躍した。また高田実らと共演,当たり役に「金色夜叉」の貫一,「己が罪」の塚口がある。41年私財を投じて東京俳優養成所を開設,後進の育成に当たったが,晩年不遇のうちに浅草今戸町で没した。<参考文献>「名家真相録16・藤沢浅二郎」(『演芸画報』明治41年4月号)

(藤木宏幸)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「藤沢浅二郎」の解説

藤沢浅二郎 ふじさわ-あさじろう

1866-1917 明治-大正時代の舞台俳優,劇作家。
慶応2年4月25日生まれ。雑誌・新聞記者をへて,明治24年川上音二郎一座の旗揚げに俳優兼作者としてくわわる。「金色夜叉」の間(はざま)貫一が当たり役で,本郷座で高田実一座の幹部俳優として活躍。41年東京俳優養成所(のち東京俳優学校)を設立。大正6年3月3日死去。52歳。京都出身。脚本に「板垣君遭難実記」「経国美談」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android