藤間藤子(読み)ふじまふじこ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「藤間藤子」の意味・わかりやすい解説

藤間藤子
ふじまふじこ
(1907―1998)

日本舞踊家。本名田中君代。東京に生まれる。養母藤間勘八(かんぱち)から手ほどきを受け、1917年(大正6)2世藤間勘右衞門(かんえもん)に入門。26年3世勘右衞門より藤間藤子の名を許される。『景清(かげきよ)』『北州(ほくしゅう)』など、男の素踊りや御祝儀物を得意とし、また、しなやかな女の踊りにも独特の味わいをみせた。歌舞伎(かぶき)舞踊に精通し、指導にあたると同時に復活物や新作の振付け作品も多い。85年(昭和60)重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。代表的な発表作品に『ふるきよき』『風の法師』がある。

[如月青子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「藤間藤子」の意味・わかりやすい解説

藤間藤子
ふじまふじこ

[生]1907.10.31. 東京,本郷
[没]1998.10.14. 東京
日本舞踊家。本名田中君代。 1914年,4世藤間勘右衛門の踊りの師匠であった藤間勘八の養女となり,翌年初舞台を踏む。 17年2世勘右衛門 (勘翁) に入門,26年3世勘右衛門 (1世勘斎) の名取となり,藤子の名を許される。 29年より紫紅会を主催し門弟の育成に努める一方,6世勘右衛門までの5代にわたる藤間流勘右衛門家の重鎮として活躍。特に歌舞伎舞踊の立役に的確な表現力を示し,また『八段目 (下の巻) 』『おしどり』など上演のまれな演目を伝承する古典派として知られた。 78年日本芸術院賞受賞。 85年重要無形文化財保持者。 87年日本芸術院会員。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「藤間藤子」の解説

藤間藤子 ふじま-ふじこ

1907-1998 大正-平成時代の日本舞踊家。
明治40年10月31日生まれ。養母藤間勘八にまなび,2代藤間勘右衛門に入門。大正15年藤間藤子を名のる。昭和4年より紫紅会を主宰。歌舞伎舞踊の振り付けも手がける。60年人間国宝,62年芸術院会員。平成10年10月14日死去。90歳。東京出身。本名は田中君代。

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