藩債(読み)はんさい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「藩債」の意味・わかりやすい解説

藩債
はんさい

幕末維新期を中心に、諸藩が三都(江戸または東京、京都、大阪)の商人や外国商社などに負っていた債務。廃藩置県後、新政府はそれらの実態を調査し、処分に着手した。負債は、古債(1843年以前の債務)、旧債(1844~67年の債務)、新債(1868~72年の債務)に区分され、古債に対しては棄却、旧・新債に対しては、新政府がそれらを肩代りして、公債証書を交付、また現金で償還した。証券交付額合計は約2340万円、現金交付額合計は約22万円に達した。こうした内債に対して、外国商社に対する外債もあった。それは外国から兵器、艦船などを輸入した諸藩の代金未払い分であった。全国で約20数藩にわたるが、なかでも、秋田・盛岡藩以下、東北、日本海側の諸藩に比較的多く、債権者はイギリス商人が多かった。1872年(明治5)政府が引き継いだ外債総額は合計280万円に達した。

[石塚裕道]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の藩債の言及

【大名貸】より

…この循環のなかで,現実には蔵物の回着時期・回着量によって入手しうる貨幣と,藩が必要とする貨幣との間に時期や量のずれが生じる。このずれを埋めるのが大名貸であるが,借手からみれば大名個人の負債ではなく藩債である。中央都市とは三都であり,近世初期に全国的な集散市場としての基礎が築かれ,運河網の完成にともなって諸藩の蔵屋敷も設置・整備・拡大され,登米(のぼせまい)が増して最大の領主米市場となった大坂を第一とする。…

※「藩債」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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