藪神(読み)やぶかみ

日本歴史地名大系 「藪神」の解説

藪神
やぶかみ

現北魚沼郡・小千谷おぢや市の大部分と南魚沼郡大和やまと町を含んだ地域。藪神内の地名としては、羽川はねがわ(現広神村)大石おおいし(現堀之内町か)のほか、文禄四年(一五九五)の魚沼郡藪神庄一之江一村尾検地帳(穴沢吉太郎氏蔵)には「藪神庄」のうちとして一之江いちのえ(現大和町市野江)一村尾ひとむらお(現同町)がみえるが、中世史料にはすべて庄名を冠することがない。とくに魚沼全部をさすとみられる「上田庄・妻有庄・藪神」(永禄四年三月一一日「長尾景虎(上杉輝虎)印判状」上杉家文書)の表現のうち、藪神のみ庄名を冠されないことから、庄園ではなく国衙領であったと考えられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「藪神」の意味・わかりやすい解説

藪神
やぶがみ

雑神(ざっしん)ともいわれ、整った社殿をもたない神。一般にちゃんとした祭りをする高神(たかがみ)に対して、下位の神を藪神ということが多い。近畿、中国、四国地方では、樹叢(じゅそう)の中に瓦(かわら)などの小祠(し)に祀(まつ)られている。藪神は祟(たた)りやすい神といわれ、これに祟られると身体がかゆくなるという。岡山県浅口市鴨方(かもがた)町などには、神が屋敷の北東隅に祀られている。奈良県南部では、藪から出て子供を驚かす魔物のようにいわれている。愛媛県今治(いまばり)市大三島(おおみしま)では、11月15日に吹く風を「藪神の荒れ」といい、山の神祭のとき、藪神にも甘酒を供えるという。

[大藤時彦]

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