食の医学館 「虫垂炎(盲腸)」の解説
ちゅうすいえんもうちょう【虫垂炎(盲腸)】
《どんな病気か?》
〈虫垂が細菌に感染し、炎症を起こす〉
虫垂(ちゅうすい)と盲腸(もうちょう)は、右下腹部にあります。大腸のはじまりの部分が盲腸で、その先端からでている小指ほどの細い管状の突起が虫垂です。
この虫垂が炎症を起こすのが虫垂炎(俗に盲腸とも呼ばれる)で、盲腸までおよぶと盲腸炎と呼びます。
症状は多くの場合、みぞおちの痛みからはじまって、徐々に右下腹部に痛みがかぎられるようになり、吐(は)き気(け)や嘔吐(おうと)が起こります。初期には微熱がでることもあります。ひどくなると、腸がまひして、おならも便もでなくなり、ふれると腹部の筋肉がかたくなる反射がみられます。
直接の原因は、大腸菌などの細菌やウイルスが虫垂に感染することで、暴飲暴食やかぜ、便秘(べんぴ)、胃腸炎などが誘因となって感染が起こります。
虫垂炎を起こす人には、糞石(ふんせき)と呼ばれるかたい便などによって、虫垂が閉塞(へいそく)しているケースがかなりあります。
《関連する食品》
〈予防には干し柿、インゲンマメなどの食物繊維を〉
○栄養成分としての働きから
虫垂炎・盲腸炎の予防には、正しい便通の習慣をつけ、腸内の環境をととのえておくことがたいせつです。
食物繊維には、便をやわらかくしてかさをふやすことで腸の蠕動(ぜんどう)を活発にし、内容物をすみやかに移動させる働きがあります。食物繊維が不足すると、便の量が少なく、かたくなり、長い時間腸に停滞するため、虫垂炎を起こしやすくなります。
食物繊維は、穀類、イモ、豆、野菜、くだもの、海藻、キノコなどに含まれ、なかでも、干し柿、インゲンマメ、ダイズ、ゴボウに多く含まれています。
〈1週間で排泄される乳酸菌は毎日補給する〉
腸には、たくさんの種類の腸内細菌がバランスを保って住んでいます。その1つである乳酸菌(にゅうさんきん)には、有害菌の繁殖(はんしょく)を抑え、腸内環境をととのえたり、病原菌に対する抵抗力を強くし、感染を防ぐ働きがあります。乳酸菌は数日から1週間ほどで排泄(はいせつ)されるので、毎日ヨーグルトや乳酸菌飲料で補給しましょう。
また、牛乳に含まれるラクトフェリンという糖たんぱく質や、ラクトペルオキシダーゼという酵素(こうそ)も有効です。ラクトフェリンには、大腸菌などの繁殖を抑え、ビフィズス菌などの乳酸菌をふやす働きがあり、ラクトペルオキシダーゼには抗菌作用があります。
便秘を防いで腸内細菌のバランスを改善すれば、虫垂炎の予防につながります。