蛍光体(読み)けいこうたい(英語表記)fluorescent substance

精選版 日本国語大辞典 「蛍光体」の意味・読み・例文・類語

けいこう‐たい ケイクヮウ‥【蛍光体】

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「蛍光体」の意味・読み・例文・類語

けいこう‐たい〔ケイクワウ‐〕【蛍光体】

蛍光を発する物質の総称。石油、シアン化白金バリウム、微量の銀の入った硫化亜鉛など、多く化合物がある。蛍光物質

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「蛍光体」の意味・わかりやすい解説

蛍光体
けいこうたい
fluorescent substance

蛍光を発する物質の総称。物質は光を受けると状態のいかんによらず蛍光を出すが、とくに可視光を発する物質を蛍光体という。

 蛍光体には純物質と、賦活剤または活性化剤を少量加えた不純物とがある。純物質蛍光体の例は、無機物のサマリウムテルビウムユウロピウムガドリニウムジスプロシウムなどの希土類金属の塩酸塩や硫酸塩、モリブデン酸カルシウム、タングステン酸カルシウムなどの遷移金属酸塩がある。また有機物としては、ベンゼンナフタレンなどの芳香族炭化水素、エオシンフルオレセインなどのフタレイン系色素がある。不純物として添加する賦活剤には、銅、銀、金、タリウム、鉛、アンチモンなどの重金属、クロムマンガンなどの遷移金属、希土類金属、共役二重結合をもつ有機化合物がある。

 蛍光体はブラウン管や蛍光染料など日用品に使用されるほか、紫外線、X線、電子線の検出や強度測定など、研究面にも利用される。

 蛍光放電管は、放電管内に発生した紫外線エネルギーを管壁に塗布した蛍光体に吸収させ、蛍光体から放出する蛍光を光源としたものである。励起光には水銀の2537Å光が用いられ、蛍光体をかえて種々の色調を得る。たとえば、タングステン酸カルシウムを用いれば青色、ケイ酸亜鉛では緑色、ケイ酸カドミウムを用いれば橙(だいだい)色となる。ネオンサイン、誘ガ灯、集魚灯などがある。一般に用いられている蛍光灯は、アンチモンやマンガンで賦活したハロリン酸カルシウムが用いられており、アンチモンでは青色蛍光、マンガンでは赤色の蛍光が得られ、両者を混合して種々の色調が得られる。

 テレビのブラウン管の内壁には種々の蛍光体が塗布されており、電子によって励起された蛍光体から蛍光が発せられている。

[下沢 隆]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「蛍光体」の意味・わかりやすい解説

蛍光体【けいこうたい】

蛍光を発する物質。燐光(りんこう)を発するものは燐光体と呼ばれるが,実用上両者を区別せず蛍燐光体または単に蛍光体ということが多い。純粋物質のままで発光するものに希土類塩,ウラニル塩,白金シアン錯塩,タングステン酸塩等の無機物質,ベンゼン,アニリン,アントラセン,フタレイン系色素,ポルフィリン系色素,シアニン系色素等の有機物質がある。実用上重要なのは硫化亜鉛等の硫化物系,ケイ酸塩・ホウ酸塩・タングステン酸塩等の酸素酸系の発光母体に,微量の重金属・希土類・マンガン等の付活剤(活性剤)を加えた結晶蛍光体で,蛍光灯,蛍光板,発光塗料,エレクトロルミネセンス,シンチレーションカウンタ,ブラウン管などに用いられる。
→関連項目蛍光灯蛍光板シンチレーションカウンター夜光塗料

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

化学辞典 第2版 「蛍光体」の解説

蛍光体
ケイコウタイ
fluorescent substance

蛍光りん光体(phosphor),りん光体ともいう.蛍光を発する物質.放射線検出用のものは,とくにシンチレーターとよぶ.無機物質では純粋な結晶(ウラニル塩,CaWO4など)と発光中心形成のため不純物を添加した,いわゆる付活型結晶(NaI-Tl,ZnS-Ag,ルビーなど)がある.有機物ではπ電子系の結晶(アントラセンスチルベンなど)と分散系(アントラセン,テルフェニルなどを溶媒やプラスチックに分散されたもの)がある.応用面では,蛍光灯,ブラウン管,X線増感紙,シンチレーション・カウンター,蛍光増白剤蛍光塗料夜光塗料,暗視器,レーザー装置,オプトエレクトロニクス装置などに用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ASCII.jpデジタル用語辞典 「蛍光体」の解説

蛍光体

CRT管面の内側に塗布される物質。電子ビームのエネルギーを目に見える可視光に変換する。

出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android