蜉蝣・蜻蛉(読み)かげろう

精選版 日本国語大辞典 「蜉蝣・蜻蛉」の意味・読み・例文・類語

かげろう かげろふ【蜉蝣・蜻蛉】

[1] (飛ぶさまが陽炎(かげろう)のようにひらめくところからの名)
① 「とんぼ(蜻蛉)」の古名。かぎろう。《季・秋》
※十巻本和名抄(934頃)八「蜻蛉 本草云蜻蛉〈精霊二音〉一名胡〈音勑加介呂布〉」
カゲロウ目に属する昆虫の総称。多くは体長一〇~一五ミリメートル。前ばねは透明で大きく、うしろばねは小さく退化し、細い体の後端には二、三本の長い糸状の尾をもつ。春から夏、湖沼河川などに多く、幼虫は水中にすむ。幼虫は二、三年で成虫になるが、成虫の寿命は一時間から長くとも三週間とされ、はかないもののたとえとされる。フタバカゲロウ、ヒラタカゲロウなど種類は多いが、ウスバカゲロウクサカゲロウはアミメカゲロウ(脈翅)目の昆虫で、本来のカゲロウとは分類上異なる。また、「かげろう(陽炎)」と混同して解されることもある。かげろい。《季・秋》
源氏(1001‐14頃)蜻蛉「ながめ給ふゆふぐれ、かげろふのものはかなげにとびちがふを」
[2] (蜻蛉) 「源氏物語」第五二帖の名。宇治十帖の第八。薫大将二七歳の春から秋まで。失踪した浮舟の葬儀が営まれ、薫と匂宮はそれぞれの悲しみにくれる。薫は明石中宮法華八講女一の宮に心を動かされるが、結局、思いは宇治の姫君たちに戻っていく。

かぎろう かぎろふ【蜉蝣・蜻蛉】

〘名〙 =かげろう(蜉蝣)(一)①
本草和名(918頃)「蜻蛉〈略〉和名加岐呂布」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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