精選版 日本国語大辞典 「蜘蛛手」の意味・読み・例文・類語
くも‐で【蜘蛛手】
〘名〙
① 川や道などが四方八方に枝分かれしていること。また、その分岐点。
※伊勢物語(10C前)九「そこを八橋といひけるは、水ゆく河のくもでなれば、橋を八つわたせるによりてなむ」
② 放射状をした物。
(イ) 木や竹などを打ち違えに組んだ様子。また、その格子、柵の類。
※詞花(1151頃)雑上・二七四「並み立てる松のしづ枝をくもでにてかすみ渡れる天の橋立〈源俊頼〉」
(ハ) 扇の要(かなめ)と地紙との間の骨が放射状に見える部分。
※幸若・なすの与市(室町末‐近世初)「扇をたててはかなめを射るとは申せども、かなめの辺はめづらしからず、くもでの辺をあそばせ」
(ニ) 鷹や隼(はやぶさ)の部分の名称。あしからあしゆびが分かれている付け根の内側をいう。
※養鷹秘抄(15C前か)「くもて」
③ 四方八方に駆け回ること。また、刀や棒などを打ち違えに振り回す動作。→蜘蛛手十文字。
[二] (「に」を伴って副詞的に用いる)
① 四方八方に。八重十文字に。
※小大君集(1005頃)「花すすきくもでに人に結ばれていつかとくると待つぞはかなき」
② あれこれとさまざまに思案をめぐらすさま。
※大和(947‐957頃)二条家本附載「もし男などに具してきたるにやなど、くもでに思ひ乱るるほどに」
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