蜘蛛(読み)くも

精選版 日本国語大辞典 「蜘蛛」の意味・読み・例文・類語

くも【蜘蛛】

〘名〙
① 蜘蛛形類、クモ目に属する節足動物総称。体は頭胸部腹部とからなり、長い四対のあしをもつ。はね、触角複眼はなく、分類上、昆虫類よりはダニやサソリに近い。腹部後方に紡績突起があり、糸を出して網を張り昆虫などの獲物を捕える。タナグモオニグモジョロウグモアシナガグモなど約一〇〇〇種が分布する。網を張らないジグモハエトリグモドクグモなどもある。ささがに。《季・夏》 〔十巻本和名抄(934頃)〕
俳諧・向之岡(1680)「蜘何と音(ね)をなにと鳴く秋の風〈芭蕉〉」
② 「くもすけ(雲助)①」の略。
※俳諧・鶉衣(1727‐79)前「東海道にちりぼひたる宿なし者をば蜘(クモ)とはいかでいふやらむ」
[語誌]古くクモは、霊力を持つとされ、クモが巣をかけるのを待ち人の来訪の前兆とする俗信や、朝グモを吉事の前兆とする俗信が生まれた。その一方で、「古事記‐中」の「尾生(あ)る土雲(つちくも)、八十建(やそたける)」のように敵対する土着のひとびとをクモと呼び、その外見から、マイナスのイメージをもって描かれることも多い。

ち‐ちゅう【蜘蛛】

〘名〙 =くも(蜘蛛)
田氏家集(891‐892)上・見蜘蛛作網「蜘蛛作網、日昏時」
※高野本平家(13C前)五「紀州なくさの郡高雄村に一の蜘蛛(チチウ)あり」 〔関尹子三極

ち‐しゅ【蜘蛛】

〘名〙 「ちちゅ(蜘蛛)」の慣用読み
※明応本節用集(1496)「蜘蛛 チシュ」

ち‐ちゅ【蜘蛛】

〘名〙 =くも(蜘蛛)

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デジタル大辞泉 「蜘蛛」の意味・読み・例文・類語

くも【蜘蛛】

蛛形ちゅけい綱真正クモ目の節足動物の総称。体は頭胸部と腹部とからなり、歩脚は四対。ふつう8個の単眼がある。腹部後方に糸を出す突起をもつ。肉食性で、網を張るものと網を張らないものとがある。オニグモジョロウグモジグモなど日本には約1000種が知られる。 夏》

ち‐ちゅ【××蛛】

くも(蜘蛛)」に同じ。
「散り来る柳の一葉の上に―の乗りて」〈謡・遊行柳

ち‐ちゅう【××蛛】

くも(蜘蛛)」に同じ。〈日葡

ち‐しゅ【××蛛】

「ちちゅ(蜘蛛)」の慣用読み。「くも(蜘蛛)」に同じ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「蜘蛛」の読み・字形・画数・意味

【蜘蛛】ちしゆ

くも。〔宋名臣言行録、九之二、王禹〕一日、太守、席上に詩句を出だす。鸚鵡(あうむ)は能く言(ものい)ふも、爭(いか)んぞ鳳に似んと。坐客未だ對するものらず。、之れをに寫す。元之(禹)其の下に書す。蜘蛛は巧なりと雖も、(かひこ)に如(し)かずと。

字通「蜘」の項目を見る

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動植物名よみかた辞典 普及版 「蜘蛛」の解説

蜘蛛 (クモ)

動物。クモ目の節足動物の総称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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