家庭医学館 の解説
けっせんせいじょうみゃくえんじょうみゃくけっせんしょう【血栓性静脈炎(静脈血栓症) Thrombophlebitis】
静脈の壁に損傷や炎症がおこり、その部位に血栓(けっせん)(血液のかたまり)ができて、静脈の内腔(ないくう)をふさいでしまうものです。
血栓ができるときに炎症が関係しているかどうかで、静脈血栓症(じょうみゃくけっせんしょう)と区別されますが、血栓ができると炎症をともなうため、この2つの病気を厳密に区別するのはむずかしいのです。そのため、一般的には、表在静脈は血栓性静脈炎(けっせんせいじょうみゃくえん)、深部静脈は静脈血栓症(じょうみゃくけっせんしょう)(深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう))と呼ばれます。
症状は、静脈に沿ってしこりができ、発赤(ほっせき)と軽い痛みをともないます。ときには、発熱や悪寒(おかん)などの全身症状もみられます。
[原因]
もっとも多い原因は、静脈注射や、カテーテルという細長い管を静脈内に長期間入れたままでいる(留置(りゅうち)カテーテルという)ためにおこる静脈炎です。
そのほか、ベーチェット病、バージャー病、悪性腫瘍(あくせいしゅよう)(がん)や膠原病(こうげんびょう)でも静脈炎をともなうことがあります。とくに四肢(しし)(手足)のあちこちに細長いしこりのようなものがつぎつぎに現われ消えていくものは、遊走性静脈炎(ゆうそうせいじょうみゃくえん)といい、バージャー病の可能性があります。また、静脈瘤(じょうみゃくりゅう)に静脈炎を合併する場合もあります。
[治療]
ほとんどの場合、局所の安静をはかり、湿布(しっぷ)をするだけで短期間で治ります。