血統登録(読み)けっとうとうろく(英語表記)pedigree registration

精選版 日本国語大辞典 「血統登録」の意味・読み・例文・類語

けっとう‐とうろく【血統登録】

〘名〙 家畜血統をその品種の登録協会に登録すること。優良品種の維持、品種の向上のため一八世紀末イギリスに始まり、日本では乳牛肉牛、馬、犬、ヤギなどに行なわれる。〔大増補改訂や、此は便利だ(1936)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「血統登録」の意味・わかりやすい解説

血統登録 (けっとうとうろく)
pedigree registration

家畜の遺伝的改良をはかる場合に基礎となるのは,ある個体から父母,祖父母と祖先へさかのぼった血縁関係を明確にすることである。そのために行われるのが血統登録であり,人間でいえば戸籍に相当する。現在では改良の進んだ品種についてはそれぞれの品種ごとに,政府または公共機関(登録協会)の手で登録事業が営まれ客観性と正確性を期している。日本でも乳牛,和牛,軽種馬,ヒツジ,ヤギ,ブタなどで実施されている。家畜の血統登録は古くはアラビア人がアラブ種ウマの改良において実施したといわれているが,組織的に行われて現在まで続いているのはイギリスのサラブレッド種について1791年に開始されたのが最初である。血統登録されたものを集め記載したものが血統登録簿で,登録個体には血統証明書(血統書)が交付される。登録には閉鎖式と開放式がある。閉鎖式登録は品種として成立の古い確立された品種について行われるもので,すでに登録された血統の明らかなものどうしの交配によって生まれた個体のみを登録する方式である。純粋性を保つ役割を果たし,イヌやネコなど愛玩動物の品種の登録はほとんどこれである。イヌについては欧米では各国に一つの団体が血統書を発行しているが,日本ではいろいろの団体が独自の血統書を発行している。ネコも日本ではいくつかの団体が血統書を発行している。開放式登録は品種成立の歴史の浅いものやその途上にあるものについて行われ,登録個体以外でも,育種に役だつ個体は選び出して基礎登記し,生まれた子の中で標準に合格したものを予備登録する。さらにその子の中で合格したものは本登録するというように,累代的に段階を設けて登録に組み入れる方式である。また登録個体間に生まれたものすべてを無条件に登録するのではなく,一定の基準を超えた個体だけを選んで登録する選択登録という方式もあり,この方が育種には積極的な意味をもつ制度といえる。血統登録に際しては個体の識別が必要であり,また親子関係の正確な認識が重要である。従来個体の識別には毛色・斑紋・旋毛の位置・鼻紋などの外貌上の特徴や,耳標・入墨・耳刻・焼印などの手段が用いられたが,人工授精技術の普及に伴い,父畜の認定を誤る危険が増えてきたので,最近では血液型の遺伝を利用し個体の識別,親子関係の確認が行われている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「血統登録」の意味・わかりやすい解説

血統登録
けっとうとうろく

家畜の遺伝形質などを明らかにするために行う血統の登録。すでに登録されている両親から生れたものだけを対象とする閉鎖式と,雑種のものでも改良の基礎にしようとするものを対象とする開放式とがあり,さらに体型や能力に一定の基準をつくってこれに合格したものだけを登録する選抜登録とがある。初めて血統登録を行なったのは,1791年のイギリスでサラブレッドの種牡馬について行なったもの (→ジェネラル・スタッドブック ) で,以後,肉牛や羊などについても行われるようになったが,現在ではほとんどの国で各種の家畜について行われている。日本では牛,軽種馬 (サラブレッド,アラブなどの競走馬が含まれる) ,羊,やぎ,豚の各品種について,公共団体が血統登録を行い,登録簿として公にするとともに,飼育者に名称,登録番号,性別,生産者,生年月日,系図,特徴などを記入した血統登録証明書を配布している。特に血統が重んじられるのは血統のスポーツといわれる競馬で,血統の明らかでない競走馬はレースに出走できない仕組みとなっている。また犬,ねこなどについても,それぞれの登録協会あるいは愛好者団体で血統登録を行い,血統書を発行している。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「血統登録」の意味・わかりやすい解説

血統登録【けっとうとうろく】

交配に使用される家畜に信頼性を与えるために,公共団体により行われている登録制度。1791年英国でサラブレッド種馬について行われたのが最初。閉鎖式と開放式とに大別される。閉鎖式はすでに登録された両親から生まれたものだけを対象とする制度で,イヌやネコなど愛玩動物の品種の登録はほとんどがこれである。開放式は雑種であっても改良の基礎になる個体を標準に従って選択,登録し,数代にわたる交配を行うなかで改良を進め,ついには純粋種と同じか,またはそれに準じた扱いをするもの。近年では血液型の遺伝を利用して個体の識別や親子関係の確認が行われている。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「血統登録」の意味・わかりやすい解説

血統登録
けっとうとうろく

家畜登録制度

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android