精選版 日本国語大辞典 「行道」の意味・読み・例文・類語
ぎょう‐どう ギャウダウ【行道】
こう‐どう カウダウ【行道】
ゆく【行】 道(みち)
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(1)仏の周囲を右回りに巡って仏を敬礼供養する作法。遶仏(にようぶつ),施遶(せによう)ともいう。インドでは右手を浄,左手を不浄とする思想があり,比丘たちは仏に対して右遶三匝(うにようさんそう)する(右回りに3回回る)のが例法となった。中国では左を上位とする考えがあって戒壇を巡るときに左回りすることもあり,日本でも座禅のときに眠けを覚ますための香版(警策)をもって回る役の巡香(じゆんこう)は左回りであるが,そのほかはすべて右回りである。回る度数は1回のばあいも7回のばあいもある。日本の各宗では大法要には必ず経文や梵唄を唱えながら行道するのがつねである。その対象によって,遶仏,遶堂,遶塔ともいう。また大法要で大衆が入堂する際に行列をなして境内や回廊を練り歩くのも行道の一種で庭儀式,縁儀式という。
→行道面
(2)経行(きようぎよう)/(きんひん)のこと。一定地域を巡ったり,座禅のさいの眠けを覚ますために身心を整える運動をいう。
執筆者:藤井 正雄
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…インドや中国の仏寺で行われていた行像や行道の影響を受けて,日本の仏寺でも古代から大法要には特定の仮装の者が参加している。その種類や数は法要の形式や時代によって異なるが,この仮装に用いる仮面を総称して行道面という。…
…寺院の堂外の儀礼と,堂内の儀礼が密接にかかわりながらとり行われるが,たとえば法要と舞楽が並行して行われる庭儀舞楽法要の場合は,仏教儀式と舞楽が,堂内と堂外の舞台を用いて有機的に構成される。庭儀には行道(ぎようどう)を伴い,堂内に入場する僧侶は2列に並んで〈庭讃〉の声明曲(しようみようきよく)を,また散華行道の場合は《唄(ばい)》《散花》などの曲を唱誦する。とくに導師や読師,講師(こうじ)は傘をさしかけられたり,輿(こし)に乗って入場し,僧侶の装束も盛装になるなど,すべてが大がかりに行われる。…
…
[寺事と法要]
寺事の中核となる法要は,何曲かの声明(しようみよう)と,特定の修法(しゆほう)や読経などを組み合わせて構成されている。その組合せ方によって種々の意義を表明しうるわけであり,これに礼拝や行道(ぎようどう),呪法(呪師)などの所作を加えて,より意義を鮮明にし,儀礼としてのかたちを整えている。数多くの法要形式の中には,8世紀にすでに完成していたものもあり,現代の制作になる新しい法要形式もある。…
※「行道」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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