裏表(読み)ウラオモテ

デジタル大辞泉 「裏表」の意味・読み・例文・類語

うら‐おもて【裏表】

物の表面と裏面。「紙の裏表
表面に現れている事柄と、裏に隠されている事情。表面と内情。「業界裏表に通じている」
一つの事柄が呈する、一見異なって見える二つの様相。「過保護も放任も親の自信の無さの裏表である」
人の見ているところと見ていないところとで、態度・行動が違うこと。かげひなた。「裏表のある人間」
裏を表側にすること。裏返し。「靴下裏表にはく」
裏と表ほどかけ離れていること。全然違うこと。正反対
「其の事は愚僧も聞いていまするが、世間沙汰とは―」〈浄・八百屋お七
[類語]表裏反対陰日向背中合わせ裏腹面従腹背ぎゃく逆様さかさまさかあべこべかえって裏返し右左みぎひだり上下うえした後ろ前正反対真逆本末転倒主客転倒

うら‐うえ〔‐うへ〕【裏表】

裏と表が入れ替わること。あべこべ。反対。
「其言葉とは―に」〈花袋・生〉
裏と表。
「墨のいと黒う、薄く、くだりせばに、(紙ノ)―書き乱りたるを」〈・二九四〉
前後左右上下など相対する物事両方。あちらこちら。
ふたりを―に置きてこそなぐさみつるに」〈平家一二

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「裏表」の意味・読み・例文・類語

うら‐おもて【裏表】

[1] 〘名〙
① 一般に布、紙など平たい広がりをもったものの表面と裏面。
※弁内侍(1278頃)建長二年一〇月一三日「うらおもて白き御下襲(したがさね)
② 建物や部屋の前とうしろ。また、裏通り表通り
※人情本・英対暖語(1838)二「奥の座敷に伴ひゆき、しばらく裏表に気を配り」
③ 物事の表面にあらわれた部分と内に隠された部分。
福翁自伝(1899)〈福沢諭吉〉雑記「そんな事をして人を苦しめないでも宜(い)いだらうと裏表(ウラオモテ)から色々話すと」
④ 表面にあらわれたものと内面にかくされたものとが食い違うこと。かげひなた。うらはら。
※十訓抄(1252)六「うらおもてなく、親をもひかず、疎をも隔てずして、ひとしき思をなす」
⑤ 裏と表ほどかけはなれていること。全然違うこと。正反対。
※玉塵抄(1563)二五「掉挙はとびあがり浮(うき)すぎた者あり沈とうらをもてぞ」
浄瑠璃・八百屋お七(1731頃か)上「其事は愚僧も聞いていまするが、世間の沙汰とはうら表」
⑥ 裏を表にすること。裏返し。「裏表に着る」
裏門表門で、男色と女色をいう隠語
※雑俳・末摘花(1776‐1801)三「裏表二の手柏の坊主客」
[2] 江戸深川の岡場所、裏櫓(やぐら)と表櫓のこと。

うら‐うえ ‥うへ【裏表】

〘名〙 (「うえ」は「おもて」の意)
① 裏と表。布、紙などの両面。
※枕(10C終)二九四「墨のいと黒う、薄く、くだりせばに、うらうへ書き乱りたるを」
② 左右、前後、上下など、相対する物事の両方。両側。また、あちらこちら。
※梁塵秘抄口伝集(12C後)一〇「斑(ぶち)なる馬に乗りて、うらうへに立ちたまひて」
③ 表と裏がいれかわること。うって変わること。あべこべ。反対。うらはら。
※伊勢集(11C後)「うらうへぞおもひやらるる唐衣からにうつりて君が来たれば」
※生(1908)〈田山花袋〉二〇「其時から其言葉とは反対(ウラウヘ)に」

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普及版 字通 「裏表」の読み・字形・画数・意味

【裏表】りひよう

裏外。

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