西宮(市)(読み)にしのみや

日本大百科全書(ニッポニカ) 「西宮(市)」の意味・わかりやすい解説

西宮(市)
にしのみや

兵庫県南東部にある住宅・工業都市。神戸、大阪両市のほぼ中間に位置する。1925年(大正14)市制施行。1933年(昭和8)今津(いまつ)町と芝、大社(たいしゃ)の2村、1941年甲東(こうとう)村、1942年瓦木(かわらき)村、1951年鳴尾(なるお)、山口、塩瀬(しおせ)の3村を編入。2008年(平成20)中核市に指定。JR東海道本線、JR福知山線、阪急電鉄神戸線、今津線、甲陽線、阪神電鉄本線、同武庫川(むこがわ)線、国道2号、43号、171号、176号、阪神高速道路、中国自動車道、名神高速道路などが走る。

 市域北部は六甲(ろっこう)山地とその南麓(なんろく)の台地からなり、南部は尼崎(あまがさき)市との境界を南流する武庫川や、夙(しゅく)川、津門(つと)川などの形成する平野、海岸低地からなる。中心地区の西宮は京や大坂と西国を結ぶ交通の要地にあり、古くから宿駅、河港として栄えた。室町時代以降は商売繁盛の夷(えびす)神を祀(まつ)る西宮神社門前町としても発達した。天保(てんぽう)年間(1830~1844)以降は酒造に適した宮水(みやみず)に恵まれ、酒造地灘(なだ)五郷の中心として栄えた。清酒製造業は十数所である。阪神電鉄沿線には酒造業のほか、機械器具、化学工業、食品工業(製油、清涼飲料、食肉加工、乳製品製菓など)が立地し、阪神工業地帯の一環をなしている。

 1月10日の十日戎(とおかえびす)祭で知られる西宮神社のほか、式内社の広田神社、門戸厄神(もんどやくじん)とよばれる東光寺など古社寺も多く、六甲山地甲(かぶと)山の中腹にある神呪寺(かんのうじ)は甲山大師ともいい、本尊の如意輪観世音坐像(ざぞう)、木造聖観音立像などの国指定重要文化財も多い。ビュッフェ、梅原龍三郎(りゅうざぶろう)らの絵画を収蔵する西宮市大谷(おおたに)記念美術館、東洋の古美術品を集める黒川古文化研究所、弥生(やよい)時代の銅鐸(どうたく)などを収集する辰馬(たつま)考古資料館など個人収集による美術館が多い。西宮港西側には幕末に海上防衛のために築かれた西宮砲台があり国史跡に指定されている。また、西宮浜の南端には大規模な新西宮ヨットハーバーがある。このほか、1924年(大正13)につくられた阪神甲子園球場があり、付近には遊園地の阪神パークがあったが、2003年(平成15)に閉園した。また、武庫川支流沿岸の県立甲山森林公園、西部山麓の北山公園、自然堤防上の夙川公園などの緑地公園も多い。上ヶ原台地には関西(かんせい)学院大学、神戸女学院大学などがあり、文教地区をなしている。六甲山麓には苦楽園、甲陽園、甲東園など閑静な住宅地が発達している。1995年(平成7)1月17日の阪神・淡路大震災により、死者1100人以上、家屋全半壊6万以上の甚大な被害を受けた。満池谷(まんちだに)に震災記念碑公園がつくられている。面積は99.96平方キロメートル(境界一部未定)、人口48万5587(2020)。

[藤岡ひろ子]

『『西宮市史』全8巻(1959~1967・西宮市)』


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