西山本門寺(読み)にしやまほんもんじ

日本歴史地名大系 「西山本門寺」の解説

西山本門寺
にしやまほんもんじ

[現在地名]芝川町西山

芝川中流左岸にある日蓮宗寺院。本尊は日蓮自筆曼荼羅。山号は富士山。興門派富士五山の一つ。西山にあることから西山寺ともいい、北山きたやま本門寺(現富士宮市)に対し西山本門寺と通称する。日興が建てた北山本門寺は、日興没後に相承をめぐって弟子の日妙と日代が対立した。「迹門得道ノ法門」を立てようとした日代は南条氏出身の日妙を外護した檀越石川氏と対立し、同寺の重宝等を持ち西山の現在地へ移ったという(古文書記興門雑記)。日代は西山の地頭大内安清を頼り、康永三年(一三四四)に本門寺を建立、同年一〇月一三日安清から寺領を寄進されている(「大内安清寄進状」西山本門寺文書)。永正九年(一五一二)二月七日には寺領として山が寄進されている(「義忠寄進状」同文書)。当寺を創建した後、北山本門寺との対立が続いたが、こうした状況を憂えた要法ようぼう(現京都市左京区)の日辰は、富士門流(興門派)の寺の融和を図るため、富士の僧衆と読経すると気分が悪くなるという寂円の手紙に対して「ふしもんと(富士門徒)は一段ありかたき御人衆にて候、これにてよろつを御ふんへつあるへし」と書き、西山本門寺を「ふレハにしやまかほんにて御入候、日蓮大聖人・日興上人ちやくちやくと申、よろつのさしあひなき御てらにて候」と語って対立気分を押えている(年未詳八月一六日「日辰書状」同文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の西山本門寺の言及

【芝川[町]】より

…近年,富士市,富士宮市の後背地として宅地造成も進んでいる。西山に日蓮宗の名刹(めいさつ)西山本門寺があり,重要文化財の紺紙金字法華経など多くの寺宝を有する。【萩原 毅】。…

※「西山本門寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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