西崎緑(読み)にしざきみどり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「西崎緑」の意味・わかりやすい解説

西崎緑
にしざきみどり

日本舞踊家。

如月青子

初世

(1911―57)横浜に生まれる。5歳から正派西川流の初世喜洲(きしゅう)に師事、1928年(昭和3)西川喜代美を名のる。30年、若葉会を結成して新舞踊に打ち込み、西川姓を返上。38年、本名の西崎緑として独立し、48年(昭和23)に門下要請西崎流を樹立し家元となった。民俗舞踊、民謡舞踊、オペラ風の舞踊劇『道成寺(どうじょうじ)』や、大作『黄塵(こうじん)』『日輪(にちりん)』などを発表するかたわら、NHKの「とんち教室」の一員として活躍し、幅広い人気を集めたが、40代の盛りで没した。著書に『舞踊のあけくれ』(1953)、『酔うて候』(1957)がある。

[如月青子]

2世

(1931― )初世の弟子、西崎和美(本名白川和子)が60年に襲名した。ただし、家元ではない。初世ゆずりの民俗舞踊、民謡舞踊はもとより、宗教的な世界に題材をとった佳作を生み、代表作品に野外公演における三部作『八百比丘尼(やおびくに)』『加耶女転生(かやじょてんしょう)』『小夜姫草紙(さよひめぞうし)』がある。

[如月青子]

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改訂新版 世界大百科事典 「西崎緑」の意味・わかりやすい解説

西崎緑 (にしざきみどり)
生没年:1911-57(明治44-昭和32)

日本舞踊西崎流創立者。横浜市出身。初世西川喜洲入門,1928年西川喜代美を名のる。30年〈若葉会〉を結成し本名西崎緑で新舞踊創作をめざす。38年西川名を返上して独立。48年門下の要請で西崎流家元となる。民俗舞踊,民謡舞踊,オペラ風舞踊劇等多彩な作品を発表。代表作は《黄塵》(1953),《日輪》(1955)。その没後西崎流は多派に分裂している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「西崎緑」の意味・わかりやすい解説

西崎緑
にしざきみどり

[生]1911.5.20. 横浜
[没]1957.2.18. 東京
舞踊家。日本舞踊西崎流家元。本名内海緑。幼時より正派西川流の1世家元西川喜州の門弟となり,西川喜代美と称した。 1930年新しい舞踊を目指し若葉会を結成。1世喜州の没後独立。 38年西崎緑と改め,48年西崎流を樹立して家元となる。新舞踊の第一線で活躍したが急逝。代表作に洋踊家らの参加を得た創作舞踊『黄塵 (こうじん) 』などがある。 60年理事会の決議により門弟西崎和美が2世を襲名した。

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