西川甚五郎(初代)(読み)にしかわ・じんごろう

朝日日本歴史人物事典 「西川甚五郎(初代)」の解説

西川甚五郎(初代)

没年:正保1(1644)
生年:天文18(1549)
安土桃山時代から江戸初期の近江商人蚊帳・寝具商西川家の初代であり,通称仁右衛門。近江国蒲生郡南津田村(滋賀県近江八幡市)生まれ。永禄9(1566)年19歳で商売を開始した。天正13(1585)年,豊臣秀次八幡城下(近江八幡市)建設のころに同地に移住して,大工組と称する工務監督を務め,また堀川筋輸出入調査役に任じられているので,すでに有力町人となっていたと思われる。八幡町に本店山形屋を設け,本格的商業活動を開始した。初め能登(石川県)と近江の間を,塩干物と蚊帳の天秤棒,馬背,船を使った往返商売に従事し,次いで八幡特産の畳表を取り扱って東海道筋を商圏とし,元和1(1615)年江戸日本橋通一丁目に近江屋作兵衛の名前で蚊帳と畳表の店を開くに至った。日本橋を起点に五街道の制度が設けられたのは慶長9(1604)年であり,仁右衛門はこの日本橋の最も橋よりに開店している。この一事をもっても機をみるに敏なその人となりを察することができる。<参考文献>『西川四百年史稿本』

(末永國紀)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

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