西日本火山帯(読み)ニシニホンカザンタイ

デジタル大辞泉 「西日本火山帯」の意味・読み・例文・類語

にしにほん‐かざんたい〔‐クワザンタイ〕【西日本火山帯】

山陰地方から九州を経て南西諸島に至る火山帯従来大山だいせん火山帯霧島火山帯を包括する。南海トラフ南西諸島海溝とほぼ平行で、岩石分布の特徴東日本火山帯と異なる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「西日本火山帯」の意味・わかりやすい解説

西日本火山帯
にしにほんかざんたい

山陰地方から九州を経て南西諸島に至る第四紀(過去約260万年間)火山帯。従来の白山(はくさん)火山帯の一部(狭義大山(だいせん)火山帯)と霧島火山帯を包括する。日本の第四紀火山は、これと東日本火山帯に二大別される。両者とも、太平洋側(海溝側)ほど火山が密に分布し、天気図の前線になぞらえて、「火山フロント(前線)」とよばれる。火山フロントから、大陸側に向かって火山の数も噴出量も減少し、化学組成が変化する。

 西日本火山帯のフロント沿いの火山噴出物はおもに輝石を含む安山岩で、角閃(かくせん)石を含む安山岩やアルミナAl2O3に富む玄武岩を伴い、東日本火山帯よりも概してアルカリ、とくにカリウムに富み、大陸寄りでは典型的なアルカリ玄武岩からなる火山が散在する。この火山フロントの下の深発地震面の深さは100~200キロメートルであり、フィリピン海プレートの沈み込みがマグマの発生に関与している。

諏訪 彰・中田節也]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「西日本火山帯」の意味・わかりやすい解説

西日本火山帯
にしにほんかざんたい

環太平洋火山帯うち,海洋プレートであるフィリピン海プレートが大陸プレートの下に沈み込む南海トラフ琉球海溝に沿って分布する日本の火山帯。かつての地理的区分では,白山火山帯霧島火山帯が含まれる。(→プレートテクトニクス)。

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世界大百科事典(旧版)内の西日本火山帯の言及

【火山帯】より

… 日本列島は環太平洋火山帯の一部で,日本火山帯と呼ばれるが,列島上のどこにも第四紀火山があるのではなく,北海道を東西に横断し,東北地方の西寄りを走り,中部地方の北部から伊豆諸島,硫黄(火山)列島を経てマリアナ諸島へ南下する地帯と,山陰地方から九州を経て南西諸島に至る地帯に分布する。前者は東日本火山帯(または東北日本火山帯),後者は西日本火山帯(または西南日本火山帯)と呼ばれている。この両火山帯では,太平洋側の縁寄りほど火山が密に存在し,大陸側(日本海側)ほど乏しい。…

※「西日本火山帯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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