西湖(中国)(読み)せいこ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「西湖(中国)」の意味・わかりやすい解説

西湖(中国)
せいこ / シーフー

中国浙江(せっこう)省北部、杭州(こうしゅう)市西部にある湖。シー湖、銭塘(せんとう)湖、西子湖ともよばれる。もとは杭州湾に通じる海湾であったが、砂州堆積(たいせき)により湾口がふさがれて湖となった。南北3.3キロメートル、東西2.8キロメートル、面積6.03平方キロメートル、うち湖面面積5.66平方キロメートル。湖の三面は山に囲まれ、南高峰、玉皇山、鳳凰(ほうおう)山などの諸峰がそびえる。湖面には白堤、蘇堤(そてい)の長堤が走り、この二堤によって外西湖、西里湖、北里湖、南湖、岳湖に分けられる。湖の北部には、清(しん)代に編纂(へんさん)された『四庫全書』を蔵する文瀾閣(ぶんらんかく)のある孤山という島がある。唐代に杭州刺史の李泌(りひつ)が湖水を引いて灌漑(かんがい)に利用し、宋(そう)が杭州に南渡してのち山紫水明の地として知られるようになった。「三潭印月(さんたんいんげつ)」「平湖秋月」「花港観魚」などの西湖十景はとりわけ有名で、周囲には霊隠寺、天竺(てんじく)三寺などの名刹(めいさつ)や岳墳(南宋の忠臣岳飛(がくひ)の墓)、虎跑泉(こほうせん)など名勝旧跡が多い。中国の代表的な景勝地として内外から多数観光客が訪れる。なお、中国には、ほかに福建省福州、広東(カントン)省恵州など、西湖とよばれる湖は30か所以上ある。

[林 和生

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