規制基準[公害](読み)きせいきじゅん[こうがい]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「規制基準[公害]」の意味・わかりやすい解説

規制基準[公害]
きせいきじゅん[こうがい]

公害防止のため,各発生源に対して,汚染物質排出騒音振動の発生,地下水の汲み上げなどを法的に規制するための基準。法令により,操業停止などの行政上の措置罰金などの刑罰を科する刑法上の措置が伴う。環境基本法(→公害対策基本法)21条は,政府に対して,公害防止を行なうため,大気汚染水質汚濁土壌汚染または悪臭の原因となる物質の排出,また騒音,振動,地盤沈下の原因となる行為などについて規制の措置を講じることを義務づけている。これをうけて,(1) 大気汚染については,大気汚染防止法道路交通法道路運送車両法電気事業法ガス事業法など,(2) 水質汚濁については,水質汚濁防止法海洋汚染防止法下水道法廃棄物の処理及び清掃に関する法律河川法毒物及び劇物取締法水道法など,(3) 土壌汚染については,「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律」など,(4) 騒音,振動については,騒音規制法振動規制法,道路交通法,道路運送車両法など,(5) 地盤沈下については,工業用水法,「建築物用地下水の採取の規制に関する法律」など,(6) 悪臭防止については,悪臭防止法,「化製場等に関する法律」などが,規制基準を設けている。規制の方法としては,濃度規制,総量規制,施設設置の義務づけ,原料使用の規制などがある。なお政府には,新しい公害の発生,あるいは従前の規制値では公害の防止が困難な場合には,常に規制基準の新設改訂を行なう義務がある。東京都では,「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」で「規制基準を定めていないものについては,人の健康又は生活環境に障害を及ぼすおそれのない程度」と,補完的規定をおいている。

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