親炙(読み)しんしゃ

精選版 日本国語大辞典 「親炙」の意味・読み・例文・類語

しん‐しゃ【親炙】

〘名〙 親しく接してその感化を受けること。しんせき。
※東海一漚集(1375頃)三・与戸部藤公「前月三四次。獲台席炙雅誨
※授業編(1783)三「今井小四郎などいへる人舜水に親炙(シンシャ)してもっともよく唐韻に通ず」 〔孟子尽心

しん‐せき【親炙】

〘名〙 (「せき」は「炙」の漢音) =しんしゃ(親炙)
翁問答(1650)下「間に志真実なる方あれども、よき先覚に親炙(シンセキ)なきによって、道のわが心にある事をわきまへず」

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デジタル大辞泉 「親炙」の意味・読み・例文・類語

しん‐しゃ【親×炙】

[名](スル)親しく接してその感化を受けること。しんせき。
「予自身も、本多子爵に―して明治初期の逸事瑣談いつじさだんを聞かせて貰うようになって」〈芥川開化殺人

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普及版 字通 「親炙」の読み・字形・画数・意味

【親炙】しんしや・しんせき

親しく接する。〔孟子、尽心下〕百世の上(かみ)に奮ひ、百世の下(もと)、聞くせざる(な)きなり。人に非ずんば、能く是(かく)の(ごと)くならんや。而るを況(いは)んや、之れに親炙する於てをや。

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故事成語を知る辞典 「親炙」の解説

親炙

ある人に親しく接して、感化を受けること。転じて、あるものごとに親しんで、影響を受けること。

[使用例] われらのごとき、幼少よりオランダ人に朝夕親炙いたしおる者にても、なかなか会得いたしかねてござる[菊池寛蘭学事始|1921]

[由来] 「孟子―尽心・下」の一節から。聖人言動は一〇〇世代も後の人まで感化するのだから、「いわんや親炙する者に於いてをや(まして親しく接した人たちは、どれほどの影響を受けたことだろうか)」と述べています。「炙」とは、肉を火であぶることで、ここでは感化すること。

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