親鸞上人絵伝(読み)しんらんしょうにんえでん

改訂新版 世界大百科事典 「親鸞上人絵伝」の意味・わかりやすい解説

親鸞上人絵伝 (しんらんしょうにんえでん)

浄土真宗開祖親鸞伝記を描いた絵巻。鎌倉時代の高僧伝として《法然上人絵伝》などと同様,開祖への信仰の広がり,諸門派の分立などにより各種の伝記絵巻が制作された。没後約30年を経た1295年(永仁3),親鸞の曾孫で本願寺3世の覚如が詞をつくり,信濃国塩崎康楽寺の画僧浄賀(1275?-1356)に描かせた《善信上人絵》2巻本がその最初であるが,原本は現存せず,14世紀ころの西本願寺本がその系統をついでいる。東本願寺本《本願寺聖人伝絵》4巻は,浄賀の子宗舜,孫の円寂によって1343年(興国4・康永2)に描かれたことから康永本とも呼ばれる。しだいに内容が増補され,大部なものとなっており,ほぼ同内容のものが千葉県昭願寺本(1344),東本願寺弘願本(1346)などにみられ,このころ各地で親鸞伝絵巻が写し伝えられたことを示している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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