観心本尊抄(読み)かんじんほんぞんしょう

精選版 日本国語大辞典 「観心本尊抄」の意味・読み・例文・類語

かんじんほんぞんしょう クヮンジンホンゾンセウ【観心本尊抄】

一巻日蓮が文永一〇年(一二七三)に述作。五大部の一つ日蓮宗の教理体系を述べ、南無妙法蓮華経を唱える唱題観心と捉えた日蓮独自の主張を明らかにしたもの。正式には、如来滅後五五百歳始観心本尊鈔。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「観心本尊抄」の意味・読み・例文・類語

かんじんほんぞんしょう〔クワンジンホンゾンセウ〕【観心本尊抄】

鎌倉時代の仏教書。1巻。日蓮著。文永10年(1273)成立。観心と本尊は妙法蓮華経として具現されているとし、口に南無妙法蓮華経と唱えることで仏果成就を得ると説く。日蓮五大部の一。如来滅後五五百歳始にょらいめつごごごひゃくさいし観心本尊抄。本尊抄。観心抄。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「観心本尊抄」の意味・わかりやすい解説

観心本尊抄 (かんじんほんぞんしょう)

《如来滅後五五百歳始観心本尊抄》の略称日蓮が1273年(文永10)撰したもの。真跡の17紙が中山法華経寺に現存するが,表裏両面に記載され,佐渡の流人の窮乏生活を思わせる。中国天台の智顗ちぎ)の十界互具(じつかいごぐ),一念三千の理論にもとづくが,凡夫を仏と隔絶した存在とみる認識に立ち,その凡夫が,《法華経》の題目を〈南無妙法蓮華経〉と唱える(唱題する)ことにより,題目に包含されている釈尊の因行果徳の功徳(くどく)を自然(じねん)に譲与されるとした。これが観心であるが,いいかえれば,そう信ずる信心である。さらに,信仰・実践の対象としての本尊の様相を明らかにした。日蓮の宗教の基本である本門の本尊と題目を示す最重要書。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android