解由(読み)げゆ

精選版 日本国語大辞典 「解由」の意味・読み・例文・類語

げ‐ゆ【解由】

〘名〙 (「げ」「ゆ」はそれぞれ「解」「由」の呉音) 奈良平安時代任期満了して交代の際、引継完了を証する文書解由状
続日本紀‐天平五年(733)四月辛丑「国冝状。遷替之人必付解由。申送於官

とくる‐よし【解由】

〘名〙 (「解由(げゆ)」の訓読) 令制で、任期満了の際、交代の事務引き継ぎをすること。また、引継完了を証する文書。
日本紀竟宴和歌‐延喜六年(906)「あみはれるあひこにあひてあぢきなくよとせのあひだ解由(とくるよし)なし〈紀有世〉」

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デジタル大辞泉 「解由」の意味・読み・例文・類語

げ‐ゆ【解由】

奈良・平安時代、官人が任期満了のときに交代の事務引き継ぎをすること。
解由状」に同じ。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「解由」の解説

解由
げゆ

解由状とも。律令制下,官人の交代に際し,後任者が前任者に交代事務が完了したことを証明するために出す文書。交代に際して官有物破損紛失などの怠慢の責任を明確にするための制度で,在京諸司でも行われたが,とくに国司の交代の際に重視された。やがて国司交代に際して解由の発行までの交代事務が停滞し,9世紀初めには勘解由使(かげゆし)をおいて監督するようになり,また交代が完了していないことを示す不与解由状(ふよげゆじょう)が発行されるようにもなった。

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世界大百科事典(旧版)内の解由の言及

【交替式】より

…平安時代初期,内外官の交替に関する規則を集成した法規集。《延暦交替式》《貞観交替式》《延喜交替式》の3種があり,いずれも勘解由使(かげゆし)によって編纂された。奈良時代には,外官(地方官)たる国司の交替に際し,後任の国司が前任の国司から事務引継ぎを受けるに当たって,一種の会計監査を行い,前任国司は解由(げゆ)という監査済の証明書をもらって都に帰任するしくみになっていた。…

※「解由」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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