訴人(読み)ソニン

デジタル大辞泉 「訴人」の意味・読み・例文・類語

そ‐にん【訴人】

訴え出た人。告訴人
中世訴訟原告。→論人ろんにん
目明かし。岡っ引き。
訴え出ること。
「おのれ少しの欲にめでて、よう―しをったな」〈浄・大経師

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精選版 日本国語大辞典 「訴人」の意味・読み・例文・類語

そ‐にん【訴人】

〘名〙
① うったえ出た人。告訴した人。
令義解(718)公式「断訖訴人不服。欲上訴者。請不理状。以次上陳」
咄本・軽口御前男(1703)二「『生玉の水茶屋の女子共は博痴やどするさうな。〈略〉』『是はあたらしい。訴人(ソニン)でもあるか』」 〔続玄怪録‐張質〕
② 中世、訴訟の原告をいう。被告論人といい、原告と被告を合わせて訴論人という。
※御成敗式目(1232)三五条「右就訴状召文事及三ケ度猶不参決者訴人有理者直可裁許
③ 違法行為を摘発する人。また、めあかし。おかっぴき。
※甲陽軍鑑(17C初)品一七「一 訴人岩間大蔵左衛門とて、御分国中万事の儀を申上る侍一人あり」
④ (━する) 人を訴え出ること。
※禁令考‐後集・第三・巻二六・元文三年(1738)「悪党者訴人之事」
浄瑠璃・妹背山婦女庭訓(1771)二「友吟味して訴人したら。御褒美を下さるるとお触が廻った」

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「訴人」の解説

訴人
そにん

中世の裁判における原告。被告は論人(ろんにん)という。幕府の裁判では,訴人となりうるのは基本的には御家人で,名主百姓荘官が訴人となるには,地頭本所挙状を必要とした。訴人は訴状に証拠文書(具書)をそえて訴えを提起し,裁判の進行当事者主義によったので,訴人としてなすべきことは多かった。

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世界大百科事典(旧版)内の訴人の言及

【所務沙汰】より

…以後,越前・尾張を境として東国は鎌倉の引付方,西国は六波羅探題の引付方,1293年(永仁1)の鎮西探題設置後は九州は探題が管掌し,いずれも終局判決を与えた。
[訴訟手続]
 原告を訴人,被告を論人,訴象対象地を論所という。訴人は訴状を提出し,問注所の所務賦(しよむのくばり)という担当奉行が形式的な要件の欠陥を審査したうえで受理し,賦双紙(くばりそうし)という帳簿に登録し,訴状(申状ともいう)に銘を加え(折りたたんだ訴状の端の裏の部位に案件を示す見出しと年号月日の数字を書くこと),引付方に送付して,訴が裁判所に係属したことになる。…

※「訴人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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