精選版 日本国語大辞典 「誘」の意味・読み・例文・類語
さそ・う さそふ【誘】
〘他ワ五(ハ四)〙
① 相手に、ある事をするようにすすめる。勧誘する。誘引する。また、すすめていっしょに行く。いざなう。
※太平記(14C後)一一「立も帰らで漕ぐ船を浦より外に誘(サソフ)らん」
③ (物を)もち去る。(人を)さらってゆく。盗む。
※虎明本狂言・地蔵舞(室町末‐近世初)「此笠を人にさそはれてはなりまらせぬ」
そび・く【誘】
〘他カ四〙
① かたわらから引く。さそいをかける。だましてさそう。誘惑する。おびく。〔名語記(1275)〕
② 無理やりに引っぱり出す。強いて連れてくる。しょびく。しょっぴく。
※日葡辞書(1603‐04)「ショニンノ サイシドモヲ サガシイダシテ ヒキ sobiqu(ソビク)」
そびか・う そびかふ【誘】
〘他ハ四〙
① さからう。からかう。いどむ。
② 引っぱる。引っぱり合う。
※浄瑠璃・蘆屋道満大内鑑(1734)三「妼どもがそびかふて配分さしてはなるまいと」
いざ‐な・う ‥なふ【誘】
※続日本紀‐天平勝宝元年(749)一二月二七日・宣命「神我天神地祇を率(ひき)ゐ伊左奈比(イザナヒ)て必ず成し奉(まつ)らむ」
※蜻蛉(974頃)下「れいのものする山寺に、紅葉も見がてら、とこれかれいざなはるればものす」
いざ‐ない ‥なひ【誘】
〘名〙 (動詞「いざなう(誘)」の連用形の名詞化) いざなうこと。さそうこと。すすめること。さそい。
※土井本周易抄(1477)一「坤は不レ為レ倡(イサナイヲ)」
※妙好人伝(1842‐52)初「朋友義詮師の誘引(イサナヒ)によりて大和路におもむき」
さそい さそひ【誘】
〘名〙 (動詞「さそう(誘)」の連用形の名詞化) さそうこと。いざなうこと。また、おびき出すこと。誘引。勧誘。
※虎明本狂言・連歌毘沙門(室町末‐近世初)「くらまへ同道いたひて参らふとぞんじて、さそひにまいった」
※当世商人気質(1886)〈饗庭篁村〉二「膳を出す摸様なければ、最うドンでもござらうかと客方より誘ひを掛ければ」
おこつ・る をこつる【誘】
〘他ラ四〙 うまい事を言ったり、したりして人をあざむき誘う。また、御機嫌をとる。とり入る。
※書紀(720)神武即位前戊午年一〇月(熱田本訓)「盛りに宴饗(とよのあかり)を設けて虜(あた)を誘(ヲコツリ)て取れ」
おび・く【誘】
〘他カ四〙 (「招(を)き引く」または「帯引く」の変化した語か、「おびく」か「をびく」か、かなづかい未詳) だましてさそう。あざむいて引き寄せる。
※太平記(14C後)一四「射手を河中の洲崎へ出し、遠矢を射させてぞ帯(オビ)きける」
そび【誘】
〘名〙 (動詞「そびく(誘)」の名詞形「そびき」の略か) そそのかすこと。さそうこと。→そびをかう
いさよ・う いさよふ【誘】
〘他ハ四〙 いざなう。さそう。
※壬二集(1237‐45)「人ならば宮こに見ましみや木のの露をいさよふ萩の夕風」
さす・う さすふ【誘】
〘他ハ四〙 =さそう(誘)
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