諭鶴羽山地(読み)ゆづるはさんち

改訂新版 世界大百科事典 「諭鶴羽山地」の意味・わかりやすい解説

諭鶴羽山地 (ゆづるはさんち)

兵庫県淡路島の南部にあり,ほぼ東西に走る傾動地塊山地。諭鶴羽山(608m),柏原山(569m)など標高500~600mの山が連なる。海峡を隔てて東の和泉山脈,西の讃岐山脈とつながり,いずれも和泉層群が基盤岩である。三原平野にのぞむ北側斜面はゆるやかであるが,南側は直線状の断層崖となって紀伊水道に落ち込んでいる。南側の沖合2kmには沼(ぬ)島が浮かび,海岸線と沼島の間に西南日本を内帯と外帯に分ける中央構造線が走る。黒潮支流が岸を洗い,北西季節風の風下に当たる南麓海岸は冬を知らぬ別天地で,南あわじ市南部の黒岩や灘などでは水仙が自生し,ミカンビワ,花卉栽培が行われる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「諭鶴羽山地」の意味・わかりやすい解説

諭鶴羽山地
ゆづるはさんち

兵庫県淡路島南端にある傾動地塊の山地。最高峰は標高 609mの諭鶴羽山。上部白亜系の和泉砂岩から成り,大阪府の和泉山脈から香川県の讃岐山脈に続く西南日本内帯山地が,友ヶ島水道,鳴門海峡陥没で連絡を断たれて孤立化したもの。北斜面は緩傾斜淡路平野にのぞみ,南斜面は中央構造線上の急傾斜の断層崖で,紀伊水道にのぞむ景勝地。南麓の灘地方では,ビワ,ミカン,花卉の栽培が盛んで水仙郷の名所がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「諭鶴羽山地」の意味・わかりやすい解説

諭鶴羽山地
ゆづるはさんち

兵庫県淡路島南部にある断層山地。最高峰の諭鶴羽山(608メートル)を中心として、400~500メートル級の山地が東西に延びる。近畿地方の和泉(いずみ)山脈から四国の讃岐(さぬき)山脈に連なる接点にあり、おもに和泉砂岩層からなる。北側は緩傾斜だが、南側は顕著な断層崖(がい)となって紀伊水道に臨み、西南日本を走る中央構造線の一部となる。南斜面には野生のスイセンや鳴門(なると)ミカンが多くみられる。

[吉田茂樹]

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世界大百科事典(旧版)内の諭鶴羽山地の言及

【淡路島】より

…行政上は1市2郡10町に分かれ,近世に蜂須賀氏の城下町であった洲本市が行政や交通の中心になっている。本州と四国が瀬戸内海の陥没で分離したときに残った地塁状の島で,地形的に大きく北部の津名丘陵,南部の諭鶴羽(ゆづるは)山地と,その中間の地溝帯である三原平野,洲本平野に区分できる。花コウ岩からなる津名丘陵は明石海峡陥没以前は六甲山地と一続きの山地であった。…

※「諭鶴羽山地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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