講讃(読み)コウサン

デジタル大辞泉 「講讃」の意味・読み・例文・類語

こう‐さん【講×讃】

仏教で、経文意味内容を講義し、その功徳をたたえること。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「講讃」の意味・わかりやすい解説

講讃 (こうさん)

仏事の法要の分類名。経や論を讃えてその内容を講じ,そのことの功徳(くどく)を期する法要。顕教立(けんぎようだて)の法要の代表的なもの。講ずる対象によって〈華厳経講讃〉〈法華経講讃〉などと称する。講讃には論義質疑問答)が付くことが多く,その時は〈講問〉とも称する。講ずる内容が多くて数座にわたる講讃は〈法華八講〉〈最勝十講〉などと称する。法華八講は法華経全8巻を8座に分けた講讃で,毎日の朝座(あさざ),夕座(ゆうざ)の2座を4日間続けて完了するのを本儀とするが,日数を短縮したり,座数を減じたりすることもある。これに開経(導入)の無量義経,結経(補足)の観普賢経(かんふげんきよう)を加えて10座とした講讃が〈法華十講〉,法華経28品に開結2経を加えて30日間に講ずる講讃が〈法華三十講〉である。講讃の道場には,正面の左右に一段高い講座が据えられ,向かって左に講師(こうじ),右に読師(どくし)が登る。読師という名は経・論の本文を読み上げる役という意味で,講師につぐ重い役だが,実際には経・論の題名だけを読み上げ,あとは黙読する。講師は,表白(ひようびやく)(諸仏諸尊への法要の趣旨言上)を唱え,ついで勧請(かんじよう)(諸尊招請の句)を唱え,読師の経題の後に経釈を行う。論義があれば,このあと問者と講師の間に数回の問答の往復がある。問者は,正面中央に進み出て座す場合と,自席で問答を交わす場合とある。これらはいずれもフシを付けて唱えられるが,比較的簡単な旋律であり,素読みにして無旋律の唱え方とする場合もある。以上が講讃のおもな部分で,この前後に,職衆(しきしゆう)の唱える《ばい)》《散花(さんげ)》等の声明(しようみよう)曲が配されて,首尾整った法要となる。
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