譲渡性預金(読み)ジョウトセイヨキン(英語表記)negotiable certificate of deposit

デジタル大辞泉 「譲渡性預金」の意味・読み・例文・類語

じょうとせい‐よきん〔ジヤウトセイ‐〕【譲渡性預金】

シー‐ディー(CD)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「譲渡性預金」の意味・わかりやすい解説

譲渡性預金
じょうとせいよきん
negotiable certificate of deposit

通常は単にCD略称されるが、銀行関係者はキャッシュ・ディスペンサーcash dispenserとの誤解を避けるためにNCDの略称を使うことが多い。銀行の定期預金証書は、普通は他人に譲り渡すことはできないが、CDは預金者が必要に応じていつでも金融市場で自由に売却でき、金利市場金利を反映して決められる。1961年にアメリカのシティバンクが大口預金者の流出をつなぎとめるために発行して以来、その発行流通市場は急発展し、その後ユーロ市場にも波及した。日本でも1978年(昭和53)12月に金融制度調査会が導入を打ち出し、翌79年5月から発行されるようになった。アメリカのCDは、預入れ期間は2週間以上で制限はなく、通常は1年未満3か月前後が多い。発行単位は10万ドル未満のものもあるが、金融市場では10万ドル以上のものが売買されている。

 日本のCDは、当初は発行単位は5億円以上、預入れ期間は3か月以上6か月以内とされていたが、その後数度にわたり改訂され、現在では発行単位や預入れ期間の規制はなくなっている。1984年末のCD発行残高は8兆円強であったが、2007年(平成19)末では34兆円余りとなり、多く機関投資家金融機関その他の法人などに保有され、短期金融市場でも活発に売買されている。そのほとんどは都市銀行の発行によるもので、いわば短期銀行債である。CDの3か月ものの金利は、短期金融市場金利の重要な指標となっている。

後藤 猛]

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百科事典マイペディア 「譲渡性預金」の意味・わかりやすい解説

譲渡性預金【じょうとせいよきん】

negotiable time certificate of depositの訳。略称CDまたはNCD。譲渡可能定期預金証書ともいう。金融機関が,投資家と個別に交渉して発行金利,期間を定める預金証書。通常と違い,預金証書は第三者に自由に譲渡(売買)できる。自由金利商品で投資家にとっては魅力が大きい。また企業の余裕資金運用にとっても都合がよく,その対象として広く普及した。1961年に米国で創設され,日本では1979年から始まり,現在は発行単位5000万円以上,期間は2週間以上2年以内の期日指定という規制がある。
→関連項目公社債投資信託短期金融市場

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「譲渡性預金」の意味・わかりやすい解説

譲渡性預金
じょうとせいよきん
certificate of deposit; CD

銀行が発行する無記名の預金証書で,預金者はこれを金融市場で自由に売買できる。 1961年にアメリカのシティバンクが創設。以後企業の余裕資金運用の対象として,また銀行にとっては自由金利の資金調達手段として急速に普及した。日本では,金利自由化の高まりや金融業務の国際化を背景に 79年5月に発行が開始された。1口の発行単位は当初5億円であったが,84年3億円,85年1億円,88年には 5000万円に引下げられた。預け入れ期間も3ヵ月以上6ヵ月以内であったのが,86年に1ヵ月以上1年以内,88年には2週間以上2年以内に変更された。 CDレートは金融指標として多く用いられており,特に3ヵ月もの CD発行レートは短期金融市場の指標として重要視されている。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「譲渡性預金」の解説

譲渡性預金

他人への譲渡が可能な定期預金のこと。通常、定期預金は他人への譲渡が不可能である。しかし、譲渡性預金の場合、銀行が無記名の証書を発行することで譲渡が可能となっている。1979年から発行開始されており、金利は手形レートや現先レートなどの金融市場の動向を参考に定められている。発行当初は、発行最低単位や預かり入れ期間に対する規制があったが、98年を境に、金額、預金期間にかかわらず、自由に譲渡性預金を発行できるようになった。

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改訂新版 世界大百科事典 「譲渡性預金」の意味・わかりやすい解説

譲渡性預金 (じょうとせいよきん)

CD(預金)

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世界大百科事典(旧版)内の譲渡性預金の言及

【CD】より

…negotiable certificate of depositの略。譲渡が可能な預金で,かつては譲渡可能定期預金証書と訳されていたが,現在は一般に譲渡性預金と訳される。銀行関係者の間ではキャッシュ・ディスペンサー(CD)と区別してNCDの略語が一般に使われる。…

※「譲渡性預金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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