豊乗寺(読み)ぶじようじ

日本歴史地名大系 「豊乗寺」の解説

豊乗寺
ぶじようじ

[現在地名]智頭町新見

新見にいのみ集落の北東にある。宇谷山延寿院と号し、高野山真言宗。本尊無量寿如来。嘉祥年間(八四八―八五一)弘法大師の実弟真雅による創建と伝えるが(嘉永七年「書上帳」石谷家文書)、「因幡志」は創建を大同四年(八〇九)のこととする。草創時には支院一二坊を擁し、密教の秘法を伝授する寺院として多くの衆徒の信仰を集めていたと伝える(「因幡志」など)。天正年間(一五七三―九二)兵火のために坊中は残らず焼亡し、記録類・什宝も焼けたが、このときの住持真覚は仏像釣鐘・仏具などを土中に埋めておいたといい、戦いの収まった頃に紀州高野山よりやってきた真慶がこれらを掘出し、当寺を再興したという(前掲書上帳)。なお当寺旧蔵の釣鐘を寛文一一年(一六七一)に鋳直した際の鐘銘(拓本、寺蔵)によると、この鐘は明応五年(一四九六)に鋳造され、戦乱の際埋置かれたが、寛永一四年(一六三七)秀尊の代に掘出されたという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「豊乗寺」の意味・わかりやすい解説

豊乗寺
ぶじょうじ

鳥取県智頭町にある高野山真言宗の寺。延寿院ともいう。『書上帳』によれば開創は嘉祥年間といい,開山は法光大師真雅。古くは 12の子院を有したとされ,天正年間に戦火にあい,多くの所蔵品を焼失した。現存する絹本著色『普賢菩薩像』は平安時代法華経および普賢菩薩信仰の隆盛を物語る遺作であり,諸種の切金文によって装飾され,当代仏画の特徴をよく示しており,国宝

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉プラス 「豊乗寺」の解説

豊乗寺(ぶじょうじ)

鳥取県八頭郡智頭町にある高野山真言宗の寺院。山号は宇谷山、院号は延寿院。本尊は無量寿如来。弘法大師の弟、真雅が嘉祥年間(848~851)に開創したと伝わる。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

事典・日本の観光資源 「豊乗寺」の解説

豊乗寺

(鳥取県八頭郡智頭町)
鳥取県民の建物百選指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

世界大百科事典(旧版)内の豊乗寺の言及

【智頭[町]】より

…藩政初期から造林が盛んで智頭杉の産地として知られる。国宝の絹本著色普賢菩薩像などの寺宝を有する豊乗(ぶじよう)寺がある。町域の一部は氷ノ山(ひようのせん)後山那岐山国定公園に含まれる。…

※「豊乗寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android