豊川良平(読み)とよかわりょうへい

精選版 日本国語大辞典 「豊川良平」の意味・読み・例文・類語

とよかわ‐りょうへい【豊川良平】

実業家高知出身岩崎彌太郎のいとこ。三菱合資会社管事となり、三菱財閥基礎を確立した。明治末期、総理大臣桂太郎の顧問格となる。政界財界重鎮でもあった。嘉永五~大正九年(一八五二‐一九二〇

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デジタル大辞泉 「豊川良平」の意味・読み・例文・類語

とよかわ‐りょうへい〔とよかはリヤウヘイ〕【豊川良平】

[1852~1920]実業家。高知の生まれ。本名、小野春弥。岩崎弥太郎従弟三菱財閥の基礎を確立。政・財界の重鎮として活躍した。

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朝日日本歴史人物事典 「豊川良平」の解説

豊川良平

没年:大正9.6.12(1920)
生年:嘉永5.1.16(1852.2.5)
明治期の実業家。三菱財閥の銀行経営者。土佐(高知)藩の蘭方医小野篤治の長男で,岩崎弥太郎の従弟。本名は小野春弥。藩校の致道館を経て慶応義塾を卒業した。明治3(1870)年に豊川良平と改名したが,これは豊臣秀吉,徳川家康,張良,陳平の名を合成したもので,豪傑肌で風変わりな人物として有名であった。早くから岩崎の幕僚となり,三菱商業学校の校主を務め,犬養毅 と共に雑誌『東海経済新報』を創刊して保護主義を主張し,明治義塾を開いて自らも政治活動に熱中した。第百十九国立銀行の頭取を経て28年から三菱合資会社銀行部の支配人,部長になり,融資により東京倉庫,富士瓦斯紡績,猪苗代水力電気,日本窒素肥料の経営にかかわり,これらの企業と三菱財閥との関係を深めた。また銀行集会所副会長,銀行倶楽部委員長,手形交換所委員長にも就任した。多数の人材を三菱に入社させて「人買い」と呼ばれたが,むしろ「三菱の政治・財界部長」が彼の本質であろう。大正2(1913)年三菱合資会社管事を退き,3年に東京市会議員,5年には貴族院議員に勅選された。<参考文献>鵜崎熊吉『豊川良平』

(三島康雄)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「豊川良平」の意味・わかりやすい解説

豊川良平
とよかわりょうへい

[生]嘉永5(1852).1.16. 高知
[没]1920.6.12.
明治~大正期の実業家。旧名,小野春弥。医師の家に生まれ,従弟の岩崎弥太郎のもとで修業し,慶應義塾卒業後,弥太郎の創意により森下岩楠とともに三菱商業学校を創立,1889年三菱商会が第百十九銀行を買収すると頭取に就任,同銀行が 1895年三菱合資会社銀行部 (三菱銀行の前身) に組織されてからはその部長として約 10年間腕をふるって三菱銀行の基礎を築くとともに,1913年に引退するまで三菱財閥の最高責任者の一人として活躍した。この間三菱合資会社管事を務めたほか,日本郵船,猪苗代水力,日本窒素肥料,三菱倉庫,第百十銀行などに関与するとともに,鉄道金融,銀行救済,米価調整など財界人として難問処理にあたった。晩年は東京市政の刷新に関心を寄せて 1914年東京市会議員となり,1916年貴族院議員に勅選。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「豊川良平」の意味・わかりやすい解説

豊川良平
とよかわりょうへい
(1852―1920)

明治期の三菱(みつびし)財閥の最高幹部の1人。三菱の創設者の岩崎弥太郎(やたろう)の従弟(いとこ)で、高知で育ち、本名を小野春弥という。1875年(明治8)に慶応義塾を卒業し、三菱商業学校の校主として教育に努力し、80年に東海経済新報社を設立し、ドイツ流の保護主義経済政策を主張して「政商三菱」を弁護した。81年に明治義塾を開いて政界に顔が広く、荘田(しょうだ)平五郎、長谷川(はせがわ)芳之助をはじめ、多数の若き俊秀を三菱に入社させた。89年から三菱系の第百十九国立銀行の頭取、95年から三菱合資銀行部長に就任し、融資によって三菱倉庫、富士紡、猪苗代(いなわしろ)水力電気との関係を深めた。1910年(明治43)から13年まで三菱合資の管事に就任し、その後は東京市会議員を4年務めた。

[三島康雄]

『鵜崎熊吉著『豊川良平』(1922・伝記刊行会)』


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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「豊川良平」の解説

豊川良平 とよかわ-りょうへい

1852-1920 明治-大正時代の銀行家。
嘉永(かえい)5年1月生まれ。岩崎弥太郎の従弟。明治13年「東海経済新報」を創刊。22年三菱系の第百十九国立銀行頭取。のち三菱合資の銀行部長をへて43年管事となった。貴族院議員。大正9年6月12日死去。69歳。土佐(高知県)出身。慶応義塾卒。前名は小野春弥。

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