朝日日本歴史人物事典 「豊年斎梅坊主」の解説
豊年斎梅坊主
生年:安政1(1854)
明治大正期の「かっぽれ踊り」の名手。江戸の生まれ。本名は松本梅吉。幼いころから兄の平坊主に従って願人坊主(乞食僧のこと)の仲間に入り,「かっぽれ踊り」で市中を流し評判をとった。明治17(1884)年陸軍が軍楽用に「かっぽれ」を採譜したこともあって,「かっぽれ踊り」は芝居から花街へと広まる。26年幇間の桜川長孝らと渡米したが,サンフランシスコ上陸直後の興行で失敗,ただちに帰国した。その後は寄席や小劇場に出演して大道芸を舞台芸に磨き上げ,いなせな江戸前の芸として称賛された。晩年は豊年斎太平坊と名乗った。
(倉田喜弘)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報