貝多羅(読み)ばいたら

精選版 日本国語大辞典 「貝多羅」の意味・読み・例文・類語

ばいたら【貝多羅】

〘名〙 「ばいたらよう(貝多羅葉)」の略。
新体梅花詩集(1891)〈中西梅花霊魂「かきつくされぬ、貝多羅(バイタラ)の、其のちりぢりの、そのなかの、一ひらを」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「貝多羅」の意味・わかりやすい解説

貝多羅
ばいたら

サンスクリット語パッタラpattra(葉の意)の音写語。貝多羅葉(よう)ともいい、略して貝葉ともいう。通常、ヤシ科に属するターラtāla樹の葉が用いられ、古代インドにおいて文章を書き留める素材として用いた。その葉を長方形に切り、鉄筆で記し、油をしみ込ませて文字などを黒く浮き上がらせる。裏・表に書き続け、二枚以上になるときは両端のすこし内側中央に穴をあけ、紐(ひも)を通して束ねた。古代の仏典の多くはこの方式で、貝葉は今日の書物にあたる。このことから日本の古典には仏典を貝葉とよぶ例もある。

[奈良康明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「貝多羅」の意味・わかりやすい解説

貝多羅
ばいたら

サンスクリット語 pattraの音写。貝葉 (ばいよう) ともいう。一般にターラ樹 tālaの葉のことで,古代インドではそれを乾燥させ,横の極端に長い長方形に切り,経典などを書写する際に用いた。竹や鉄などの筆で葉面に書き刻み,のちに墨を刻面ににじませたともいう。書き終ったものは重ね,中央に2個の穴をあけ,それに紐を通して束ね,散逸しないようにして保存した。

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