朝日日本歴史人物事典 「財部静治」の解説
財部静治
生年:明治14.1.3(1881)
明治大正期,日本統計学の草分けのひとりで数理的方法を活用した社会統計学の確立者。薩摩国(鹿児島県)鹿児島郡皷川町に士族の次男として出生。二高から京都帝大法科大学政治学科に進み経済学を専攻し卒業。同大学にて統計学を研究し,独,英,米に留学後大正4(1915)年,統計学担当の教授。国勢調査の実施と並んで,私経営統計に着目し,所得などの階層別集計に満足せず地域的な分布の重要性に着目。経済思想から本草学に至る内外の文献に通じ,自由主義的な教育方法によって蜷川虎三ら多くの後進を育成し財部文庫(京都大学)を残す。国際統計協会正会員。超俗的生活を愛し酒を嗜む。河上肇辞職時(1928)の経済学部長。<参考文献>大橋隆憲『日本の統計学』
(池上惇)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報