貿易摩擦(読み)ボウエキマサツ

デジタル大辞泉 「貿易摩擦」の意味・読み・例文・類語

ぼうえき‐まさつ【貿易摩擦】

貿易不均衡をめぐって関係国間で発生する紛争通商摩擦

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「貿易摩擦」の意味・読み・例文・類語

ぼうえき‐まさつ【貿易摩擦】

〘名〙 輸出商品が相手国の国内産業と競合し、相手国の国際収支失業率影響を与えるなど、関係国間で発生する紛争。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「貿易摩擦」の意味・わかりやすい解説

貿易摩擦
ぼうえきまさつ

自由貿易による国際間貿易競争が過度に激しくなった結果生じる経済・社会問題の俗称。 1930年代の世界恐慌保護貿易と主要経済ブロックの自給自足主義 (アウタルキー) を生み,政治不安の一因となった。第2次世界大戦後この教訓に基づきガット体制による自由貿易が世界的に推進されたが,自由貿易が徹底するに及び,競争力の強い国と弱い国との間に摩擦が生じ,後者の産業停滞,失業をもたらして問題を起している。このようにある商品の輸入急増で一方の国の国内産業が圧迫を受けた場合,輸入を制限する方法と,相手国との貿易拡大のための輸入制限緩和を求める方法とがある。日本に関しては,1980年初期より欧米間との自動車摩擦,最近はハイテクノロジーの分野での摩擦が起きている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

旺文社日本史事典 三訂版 「貿易摩擦」の解説

貿易摩擦
ぼうえきまさつ

日米間の貿易収支の不均衡による経済的紛争のこと
当初繊維,鉄鋼などにすぎなかった対米輸出の品目は,高度経済成長に伴い,自動車・カラーテレビ・VTR・半導体など広範囲に広がり,1960年代以降の恒常的な貿易不均衡となってアメリカの膨大な貿易赤字の原因ともなった。アメリカはこの貿易不均衡を是正するため,日本の市場開放を求め,'89年から日米構造協議が開催された。ここでは日米貿易不均衡の原因が両国の経済構造にあるとして,アメリカは構造的な障壁を解明し,日本市場の透明性と開放を求めた。

出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の貿易摩擦の言及

【日米繊維交渉】より

…一方,日本側の姿勢の変化をみると,日米繊維交渉のころよりは,国際的相互依存の論理をかなり理解するようになり,狭い〈国益〉を追求するかたくなな態度は避けるようになってきてはいる。しかし,年々拡大していく日米貿易不均衡が引金となって,アメリカが日本側に農産物,高度技術,資本・金融などの市場開放を要求するという形での貿易摩擦(これには日米貿易摩擦だけでなく日欧貿易摩擦もある)が多発してきており,それに対する日本の外圧依存型の受身の姿勢はいまだ変わっていない。アメリカが以前のように自由貿易体制維持のための強力な指導力を発揮できなくなっている今日,西側第2の経済大国となった日本は中・長期的展望に立って,国内的要請と対外的要請との間のバランスをとりつつ,自由化政策を主体的に推進していく必要がある。…

【保護貿易】より

…そして80年代に入ると,70年代の経済的混乱の影響による世界的な不況の深化を背景に,GATTの努力やOECDの貿易自由化宣言にもかかわらず,いっそう保護貿易の傾向が強まっている。これは,日本からの輸出増大により,日・米間や日・EC間に貿易収支不均衡問題が発生し,同時にアメリカやヨーロッパで失業率が急増したこと(いわゆる貿易摩擦,経済摩擦)によるものである。もとより,このような傾向に歯止めをかけようとする主張も存在し,83年のウィリアムズバーグ・サミット(先進国首脳会議)においても,少なくとも表面的には自由貿易体制の維持が合意されている。…

※「貿易摩擦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android