賢憬(読み)けんけい

改訂新版 世界大百科事典 「賢憬」の意味・わかりやすい解説

賢憬 (けんけい)
生没年:714-793(和銅7-延暦12)

奈良末・平安初期の法相宗の学僧賢璟とも書く。生年一説に705年(慶雲2)。通称は尾張大僧都(そうず)。俗姓荒田井氏,尾張国の人。754年(天平勝宝6)鑑真一行を河内国で迎え謁し,東大寺大仏殿の前で鑑真より受戒した。759年(天平宝字3)一切経4208巻を書写して唐招提寺に納め,780年(宝亀11)多度神宮寺の三重塔を建てる。784年(延暦3)大僧都となり,桓武天皇の遷都計画に際し,793年藤原小黒麻呂,紀古佐美らとともに山背国葛野郡宇太野に新都の地を相した。これが平安京である。学識深く,かつて大安寺の戒明が唐より請来した《釈摩訶衍論(しやくまかえんろん)》をみずから検勘し,これを偽論と断定している。なお大和の室生寺は賢憬の開創と伝える。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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