賦算(読み)フサン

デジタル大辞泉 「賦算」の意味・読み・例文・類語

ふ‐さん【賦算】

時宗独自の行事で、「南無阿弥陀仏、決定往生六十万人」と記した札を配ること。一遍熊野権現神勅に基づいて始めた。おふだくばり。御化益ごけやく

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「賦算」の意味・わかりやすい解説

賦算
ふさん

時宗で行われる札配りの行事。御化益 (ごけやく) ともいい,一遍上人が熊野本宮の証誠殿から受けた神詞「人々の信不信をとはず賦算すべし」によるもので,7.5× 2cmほどの板に「南無阿弥陀仏決定往生六十万人」と記された念仏札を配ること。念仏よりやさしい,往生のあかしとして始められた。

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普及版 字通 「賦算」の読み・字形・画数・意味

【賦算】ふさん

賦税

字通「賦」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の賦算の言及

【一遍】より

…智真の名を一遍と改めたのもこのときである。一遍は同行と別れ,名号の札をくばる賦算(ふさん)を続ける旅に出,四国・九州・山陽を巡り,京都で布教を行ったのち,79年(弘安2),信濃国の伴野(長野県佐久市)を訪れたとき,空也の先例にならって踊念仏を催したが,それが予想外の人気を集めたため,その後一遍の赴く所では必ず踊念仏が行われて,数多くの庶民がそれに加わるようになった。 遊行は奥州,関東と続き,82年には鎌倉に入ろうとしたが,幕府に阻止されて果たせなかった。…

【時宗】より

…その点,法然の浄土宗では,念仏をとなえる衆生の努力を重視し,親鸞の真宗では,阿弥陀仏の絶対的な力を説くのと異なっている。一遍はそうした信仰を,賦算(ふさん)(紙の念仏の札を会う人々にくばること),踊念仏(踊りつつ念仏をとなえて法悦の境地を体験すること),遊行(ゆぎよう)(定住せず各地を修行と布教のために巡り歩くこと),という方法によって実践した。一遍は,寺を建てたり新しい宗派を開いたりする意志を持たなかったが,その教えに接した人々は全国のさまざまな階層に及び,各地で活動を続けた。…

【仏教】より

…一遍は,念仏往生の鍵は信心の有無,浄や不浄,貴賤や男女に関係するのではなく,すべてを放下(ほか)し,〈空〉の心境になって,名号(みようごう)(念仏)と一体に結縁(けちえん)することにあると説いた。一遍は生涯を廻国遊行(ゆぎよう)の旅に過ごし,念仏に結縁した人びとに往生決定の証明として念仏を書いた紙の札を与え(賦算(ふさん)),彼らに阿弥号をつけた。時衆に〈某阿弥陀仏〉と称する人が多いのはこのためである。…

※「賦算」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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