趙翼(読み)ちょうよく

精選版 日本国語大辞典 「趙翼」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐よく テウ‥【趙翼】

中国、清の史学者。字(あざな)は耘松(うんしょう)。号は甌北(おうほく)。陽湖(江蘇省)の人。翰林院にはいり「通鑑輯覧」を編修し、「二十二史箚記(さっき)」「余叢考」などの名著を残した。文集に「甌北詩集」がある。(一七二七‐一八一四

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デジタル大辞泉 「趙翼」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐よく〔テウ‐〕【趙翼】

[1727~1814]中国、清の歴史学者・文学者。陽湖(江蘇省)の人。あざなは雲松、また耘松うんしょう。号、甌北おうほく考証もととした史学者として有名で、著に「二十二史箚記さっき」「陔余叢考がいよそうこう」がある。詩に「甌北詩鈔」、詩の評論に「甌北詩話」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「趙翼」の意味・わかりやすい解説

趙翼
ちょうよく
(1727―1812)

中国、清(しん)代乾隆(けんりゅう)期の学者、詩人。江蘇(こうそ)省武進県の商家の出身。字(あざな)は耘松(うんしょう)、号は甌北(おうほく)。幼少から神童とうたわれ、23歳で順天府(北京(ペキン))で挙人となって軍機処に入り、34歳で殿試第一席、進士となって翰林院(かんりんいん)に入った。39歳で広西省鎮安府の知府となって辺境民政にあたり、広州から貴州へと辺境へ移り、治績はあがっても報いられず、退官して郷里へ帰った。60歳になって閩浙(びんせつ)総督李侍堯(りじぎょう)に懇望され、幕僚となったが、また郷里で安定書院の主講となって著述に専念した。詩名は全国に高く、同時期の袁枚(えんばい)(随園(ずいえん))、蒋士銓(しょうしせん)(蔵園)と並称された。著書に『二十二史箚記(さっき)』『陔余叢考(がいよそうこう)』『簷曝(たんばく)雑記』『甌北詩話』『皇朝武功紀盛』などがある。

増井経夫

『増井経夫著『アジアの歴史と歴史家』(1966・吉川弘文館)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「趙翼」の意味・わかりやすい解説

趙翼
ちょうよく
Zhao Yi

[生]雍正5 (1727)
[没]嘉慶19 (1814)
中国,の学者,文人。江蘇省陽湖の人。字,雲崧(うんすう),または耘松(うんしょう)。号,甌北(おうほく)。乾隆26(1761)年進士に及第。翰林院で『通鑑輯覧(つがんしゅうらん)』の編集に参与。のち地方官となって治績をあげたが貴西道道台で退官。以後郷里にあって老母孝養を尽くしながら学問,著述,教育に努めて終わった。主著『二十二史箚記』(36巻)は正史(二十四史)の考証,『陔余叢考』(43巻)は言語,事物などの起源,典拠を記し,清朝考証学の代表的著作の一つ。詩にも長じ,袁枚蒋士銓とともに「乾隆三大家」と称された。『甌北詩話』は李白杜甫など歴代の詩人を論評した書。詩文集『甌北集』(53巻)。

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改訂新版 世界大百科事典 「趙翼」の意味・わかりやすい解説

趙翼 (ちょうよく)
Zhào Yì
生没年:1727-1814

中国,清中期の学者,詩人。字は耘松,また雲菘,号は甌北(おうほく)。陽湖(江蘇省)の人。乾隆26年(1761)の進士で翰林院に入り《通鑑輯覧》などの編集に当たった。66年に広西鎮安府の知府,70年に広東広州府の知府となり,翌年貴西道の道台に移ったが,その後官を辞して郷里に引退した。しかし87年台湾に林爽文の乱が起こると,閩浙(びんせつ)総督李侍尭に懇望されて幕僚となり,その平定に画策,乱後は再び官を辞して安定書院の主講となり著述に専念した。その著《二十二史劄記(さつき)》は,正史の記述について考証を加えるとともに独自の史論を展開したもので,すぐれた中国史の概論ともいうべく,また経史にわたる学問的随筆としての《陔余(がいよ)叢考》も有名で,ほかに《皇朝武功紀盛》《簷曝雑記》があり,王鳴盛,銭大昕(せんだいきん)とともに清朝の三大史家とされる。一方,詩名も高く《甌北詩集》《甌北詩話》があり,同時代の袁枚(えんばい),蔣士銓と並称された。
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