軍民転換(読み)ぐんみんてんかん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「軍民転換」の意味・わかりやすい解説

軍民転換
ぐんみんてんかん

軍需産業を民需産業に転換すること。軍縮を円滑に推進し,民間産業を振興するためにその重要性は従来から指摘されてきたが,特に旧ソ連・東欧諸国など計画経済のもとで軍需面に傾斜した産業構造となっていた国々が市場経済に移行し,危機的状況を脱して経済成長を達成するための構造改革の一環として近年注目を集めている。軍民転換は,軍事削減の推進に加え,民需産業の技術レベルの向上,物的・人的資源の民需部門への移動,高度技術を利用した輸出拡大などを目的とし,既存軍需工場の設備やインフラストラクチャーを活用した民需品の生産のほか,技術者の民需産業への移動によって行われる。しかし,(1) 設備の転換に多額の資金を要すること,(2) 軍産複合体制からの脱却が容易でないこと,(3) 計画経済下にあっては原材料市場,金融市場が未整備であり,民需生産のための調達ボトルネックがあること,(4) 軍需産業への依存度が高い地域を中心に深刻な失業問題が生じること,など多くの課題が存在する。

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