輪宝(読み)リンボウ

デジタル大辞泉 「輪宝」の意味・読み・例文・類語

りん‐ぼう【輪宝】

《「りんぽう」とも》転輪聖王てんりんじょうおうの所有する七宝の一。金・銀・銅・鉄の4種がある。もと車輪の形をした古代インド武器仏教に取り入れられ、王の行くところ先行して四方を制するとされる。転じて、聖王をいう。

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精選版 日本国語大辞典 「輪宝」の意味・読み・例文・類語

りん‐ぼう【輪宝】

〘名〙
① 仏語。もと、インドの兵器で、車輪の形をして八方鋒端を出すもの。仏教に取り入れられて、理想の国王とされる転輪王が所持する七宝の一つとされる。転輪王が出現する時、王の行くところ、これが自転して正義による治化を助けるという。輪鋒。
※性霊集‐七(835頃)為荒城大夫奉造幡上仏像願文「微風一扇、輪宝幾千、香雲数熏、法身開発」 〔頂生王因縁経‐一〕
② (①が転輪王の所持する宝器であるところから) 転輪王。転輪聖王
※性霊集‐五(835頃)請越州節度使内外文書啓「悉達脱輪宝、蓋為此乎」
③ 紋所の名。①を図案化したもの。輪宝、三宅輪宝などがある。輪鋒。〔日葡辞書(1603‐04)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「輪宝」の意味・わかりやすい解説

輪宝
りんぽう

仏教伝説の「転輪聖王の宝」の意。転輪聖王の行くところ必ずみずから前進して外敵を破る金輪宝,銀輪宝,銅輪宝,鉄輪宝の4種があるという。仏法の象徴として崇拝されるようになり,のちに紋章化された。比叡山の菊輪宝は,輪宝のまわりに菊の花びらをあしらったもので,密教法具として大壇に用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内の輪宝の言及

【密教法具】より

…密教法具は当初,最澄,空海,常暁,円行,円仁,恵運,円珍,宗叡の入唐八家によって請来されたが,おのおのに若干の異同があって整合性を欠く。この時代のものを大別すると金剛杵(こんごうしよ)と金剛鈴(こんごうれい)が主流をなし,異種に独鈷(どつこ)杵の端に宝珠をつけた金錍(こんべい)があり,そのほか輪宝(りんぼう),羯磨(かつま),四橛(しけつ),盤子(ばんし)(金剛盤),閼伽盞(あかさん),護摩(ごま)炉,護摩杓などがあるが,供養具まで完備するには至っていない。やがて,壇上に火舎(かしや)(香炉)を中心に六器(ろつき),花瓶(けびよう),飯食器(おんじきき)などをそろえた一面器,さらに四面器を配するなど,密法法具の整備拡充が進む。…

※「輪宝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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