輸出入取引法(読み)ユシュツニュウトリヒキホウ

デジタル大辞泉 「輸出入取引法」の意味・読み・例文・類語

ゆしゅつにゅう‐とりひきほう〔ユシユツニフとりひきハフ〕【輸出入取引法】

不公正な輸出取引を防止し、輸出取引および輸入取引の秩序確立外国貿易発展を図ることを目的として、協定組合などについて定めている法律。昭和27年(1952)施行

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改訂新版 世界大百科事典 「輸出入取引法」の意味・わかりやすい解説

輸出入取引法 (ゆしゅつにゅうとりひきほう)

1952年に公布され,いくたびかの改正をへて現在に至っている法律で,その主たる内容は,(1)輸出取引における公正の維持,(2)輸出カルテル許容,(3)輸入カルテルの許容である。まず,(1)では,外国の無体財産権(特許権,商標権等)を侵害する輸出や,原産地虚偽表示などが禁止されている。(2)は,外国との通商摩擦回避,輸出における過当競争防止などのため,日本の輸出業者が外国向けの輸出について価格数量,その他取引条件に関して協定を結ぶことを認めるものである。従来の事例においては,通商摩擦回避のため,日本政府と外国政府とが国際協定締結し,これに基づいて日本政府が行政指導により輸出業者をして輸出カルテルを締結せしめるというものが多かった。たとえば,1977年の対米カラーテレビ輸出自主規制などはその一例である。なお,この法律に基づいて,カルテルに加わっていない業者(アウトサイダー)に対してはアウトサイダー規制を行うことも可能である。(3)は,輸出国において競争が実質的に制限されているなどの要因がある場合,輸入業者が輸入品の価格,数量,取引条件等について輸入カルテルを結ぶことを許容するというもので,対抗カルテルの色彩をも有するものである。輸入カルテルについては通産大臣の認可を受けなければならないとされている。なお,輸出カルテル,輸入カルテルとも,独占禁止法の適用除外となる(33条)。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「輸出入取引法」の意味・わかりやすい解説

輸出入取引法
ゆしゅつにゅうとりひきほう

昭和 27年法律 299号。貿易関係のカルテルを独占禁止法の適用から除外する法律。第2次世界大戦後日本の貿易業界は,弱体化した体質のまま激しい国際競争のなかへ投出され,過当競争による安売りと品質の粗悪化を招いたが,貿易業者の組合の結成と強化は,独占禁止法の制約を受けてはかどらなかった。 1952年アメリカのウェッブ=ポメリーン法 Webb-Pomerene Act (1918年制定の反トラスト法) にならって,輸出カルテルを独占禁止法の適用除外とするため,輸出取引法が定められ,翌年輸入カルテルをも認めることとなって,輸出入取引法と改称,さらにカルテル容認の拡大,規制の緩和が行われた。法律の概要は,(1) 不公正な輸出取引の禁止,(2) 輸出入取引に関する協定の締結や組合の設立を認め,独占禁止法の適用除外とする,(3) 協定や組合のアウトサイダーが取引秩序の確立を妨げるときの規制などである。

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