農用林(読み)のうようりん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「農用林」の意味・わかりやすい解説

農用林
のうようりん

農業生産および農家生活のために利用される林野。機能別に分類すれば、
(1)農業生産用資材の供給 落葉下草肥料および飼料としての利用、タバコ・コンニャク栽培などでの落葉の苗床保温材料としての利用、稲架(はさ)・牧柵(ぼくさく)・果樹支柱などへの小丸太材の利用、
(2)農業生産用地の補完 焼畑、切替畑、放牧(混牧林)、開墾利用、
(3)農家生活用資材の供給 燃料用の落枝・落葉、薪炭・キノコ原木(自家用)、建築・屋根・垣根資材、
(4)農業生産・農家生活の保全 防風林、屋敷林、
となる。高度成長期以降は役割を低下させているものが多いが、シイタケ山菜などの林野特産物や間伐材利用、防風・防砂・防音等環境保全林的な役割などの重要性は今日でももっている。

[野口俊邦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「農用林」の意味・わかりやすい解説

農用林
のうようりん

農家の生計ならびに農業生産の機構なかに組込まれている林野のこと。用材,薪炭,食用,工芸用産物,飼料,敷草給源放牧地として農業生産と結びついており,農業生産・農家生活用資材の供給,農業生産用の土地の提供,農業生産・農家生活の環境保護などの多目的に利用される。労働力不足のために堆厩肥自給は激減したが,地力維持に不可欠な腐植供給源としての農用林野の必要性はかえって高まっている。

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