近国(読み)きんごく

精選版 日本国語大辞典 「近国」の意味・読み・例文・類語

きん‐ごく【近国】

〘名〙
① 近くの国。⇔遠国(えんごく)遠国(おんごく)
平家(13C前)一二「近国二三ケ国をも給はって」
② 令制で、遠国(おんごく)中国に対して京に近い国々。調庸物の納入期限が十月三十日とされていた。「延喜式‐民部上」によると伊賀伊勢志摩尾張三河丹波因幡備前紀伊丹後美作近江美濃若狭但馬播磨淡路の一七国をいう。
令義解(718)賦役「凡調庸物、毎年八月中旬起輸。近国十月卅日。中国十一月卅日。遠国十二月卅日以前納訖」

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デジタル大辞泉 「近国」の意味・読み・例文・類語

きん‐ごく【近国】

近くの国。
律令制で定められていた行政区画で、京に近い国々。伊賀伊勢志摩尾張三河丹波因幡いなば備前阿波紀伊讃岐さぬき近江おうみ美濃若狭但馬たじま播磨はりま淡路の17か国。→遠国おんごく中国
[類語]隣国隣邦四隣

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「近国」の解説

近国
きんごく

律令制下,京からの行程によって畿外諸国を分類した遠・中・近の3段階のうち最も近いもの。調庸物の運搬出発時期の基準となった。「延喜式」では伊賀・伊勢・志摩・尾張・三河・近江・美濃・若狭・丹波・丹後・但馬・因幡・播磨・美作・備前・紀伊・淡路の各国が該当した。

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