近接信管(読み)キンセツシンカン(英語表記)proximity fuze

翻訳|proximity fuze

デジタル大辞泉 「近接信管」の意味・読み・例文・類語

きんせつ‐しんかん〔‐シンクワン〕【近接信管】

目標物に近づくと起爆するように装置した信管

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精選版 日本国語大辞典 「近接信管」の意味・読み・例文・類語

きんせつ‐しんかん ‥シンクヮン【近接信管】

〘名〙 光電池、レーダー装置などを内蔵し、目標から一定の有効距離内にはいると、レーダー装置などの作動で爆発する信管。VT信管もこの一種

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百科事典マイペディア 「近接信管」の意味・わかりやすい解説

近接信管【きんせつしんかん】

VTヒューズともいう。弾丸ミサイルが目標近くを通過すると作動する信管で,直接命中する必要はない。目標の検知には電波赤外線,光,磁気音響圧力などを利用している。なかでも電波近接信管が実用化されており,信管体内に送受信器からなるドップラー検知部,信号処理部,安全装置,雷管電源が組み込まれ,目標に接近すると,相対速度に比例したドップラー効果による電波の周波数変化を検知し,目標とする位置で起爆する。
→関連項目高射砲対空兵器榴弾

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「近接信管」の意味・わかりやすい解説

近接信管
きんせつしんかん
proximity fuze

対空弾に組み込まれた発信器からの電波を利用して,対空弾が目標の有効距離内に近接し,目標からの反射波が一定状態になると自動的に発火する信管VT信管とも呼ばれる。第2次世界大戦初期にイギリスアメリカ合衆国により共同開発された。1943年1月アメリカ巡洋艦『ヘレナ』から発射され,初めて対空火器として使われた。1944年アルデンヌの戦いで,地上部隊に対して初めて使用された。第2次世界大戦後期には艦載対空火器として効果的に使用され,太平洋上のアメリカ艦を攻撃する日本の飛行機に対して有効だった。現代では,機関砲弾にも組み込まれている。構造的には,発射の衝撃で電解液によって電気が発生し,弾丸の先端から電波を発信,目標から 10m程度の距離で爆発するというもの。また直撃でも爆発する。(→対空火器

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世界大百科事典(旧版)内の近接信管の言及

【信管】より

…信管の作動は,安全状態からいつでも作動する状態になる過程(安全解除という)と,作動し弾薬類を爆発させる過程に区分される。信管は装着対象別(砲弾用信管,爆弾用信管等),使用目的別(榴弾用信管,手榴弾用信管等),位置別(弾頭信管,弾底信管等)および機能別(着発信管,近接信管,時限信管等)などにより分類される。着発信管とは弾着により作動するもので,弾着とほとんど同時に爆発させる瞬発信管や弾着後多少遅れて(0.5秒以下)爆発させる短延期信管などがある。…

【弾薬】より

…対戦車用としては,砲弾直径の何倍もの厚さの装甲を貫徹するモンロー効果やホプキンソン効果を利用する対戦車榴弾や粘着榴弾が実用化し,運動エネルギーを利用する徹甲弾も出現した(図3)。対空用では瞬発および時限の両機能をもつ複動信管,さらには自ら電波を発射してその反射波をとらえ,目標付近で起爆する近接信管が出現した。近接信管は,現在では野戦砲や迫撃砲用弾薬に利用され,曳火射撃にその威力を発揮している。…

※「近接信管」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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