近江八幡市(読み)オウミハチマンシ

デジタル大辞泉 「近江八幡市」の意味・読み・例文・類語

おうみはちまん‐し〔あふみハチマン‐〕【近江八幡市】

近江八幡

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「近江八幡市」の解説

近江八幡市
おうみはちまんし

面積:七六・九七平方キロ

琵琶湖の東岸にあり、県の中央南寄りに位置する。市域は長命寺ちようめいじ(三三三メートル)鶴翼かくよく(二八四・五メートル)南部の沖積平野に広がり、南部境に沿って日野川が西流する。北方に琵琶湖中最大の島おき島が浮ぶ。北西は琵琶湖に面し、東は八日市市・蒲生がもう安土町、西は野洲やす中主ちゆうず町、南は同郡野洲町・蒲生郡竜王りゆうおう町に接する。近世以前には大半が蒲生郡に属し、日野川沿いの江頭えがしら十王じゆうおう小田おだ野村のむらの各町域は野洲郡に属した。ほぼ中央をJR東海道本線が通り、市域に近江八幡駅・篠原しのはら駅があり、東寄りに国道八号・東海道新幹線が通る。市名は近世、市域の中心であった八幡町を継承する。なお同町の名は鶴翼山麓にある日牟礼ひむれ八幡宮に由来する。

〔原始〕

末広すえひろよしやぶ遺跡やみやヶ浜・西にしの浜の湖底などで、有舌尖頭器や柳葉形尖頭器など旧石器時代の遺物が採集されている。縄文時代では琵琶湖沿岸の元水茎もとすいけい遺跡群や長命寺湖底ちようめいじこてい遺跡で多数の丸木舟が発見され、また後期の掘立柱建物からなる集落として後川うしろがわ常衛じようえ遺跡を掲げることができる。同時代晩期の遺構・遺物は市内各所で確認され、出町でまち遺跡をはじめとして後期と同じように掘立柱建物のみから構成される集落跡が発見されている。弥生時代になると遺跡の数も増す。これらの遺跡は旧日野川水系右岸遺跡群・黒橋くろはし川水系遺跡群・白鳥しらとり川水系遺跡群と称することのできるような、市域を流れる河川で形成された自然堤防上ごとに分布する一連の遺跡としてとらえることも可能である。また津田つだの入江や西の湖を囲繞するように内湖沿岸に分布する遺跡群もある。これら遺跡群が日野川右岸下流域に展開したのが弥生社会の様態であった。遺跡群のうち白鳥川と藤間ふじま川に挟まれた自然堤防上に立地する南田みなみだもりまえ堀上ほりかみの各遺跡、藤間川左岸に立地する野入のいり奥野おくのの各遺跡などは一貫して住居が掘立柱建物のみで構成される単一型集落として習俗を同じくする。これらの集落はほぼ五〇〇メートル以内の間隔で分布しており、各遺跡の消長・規模から考えて、南田遺跡を拠点的な集落とした一連の農業共同体であったと考えられる。また森ノ前遺跡は白鳥川上流の勧学院かんがくいん遺跡に連絡し、当時の交流経路を考えるうえで看過できない。この勧学院遺跡は周辺の諸遺跡と合せ千僧供せんぞく遺跡群として包括することも可能で、この遺跡群内には古墳時代中期の首長墓群(千僧供古墳群)、白鳳寺院(千僧供廃寺)、郡衙推定地(御館前遺跡)などが所在、拠点集落とよぶにふさわしい諸遺跡が展開している。

近江八幡市
おうみはちまんし

2010年3月21日:近江八幡市と蒲生郡安土町が合併
【安土町】滋賀県:蒲生郡
【近江八幡市】滋賀県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「近江八幡市」の意味・わかりやすい解説

近江八幡〔市〕
おうみはちまん

滋賀県中部,琵琶湖東南岸にある市。沖島を含む。1954年八幡町が岡山村,金田村,桐原村,馬淵村の 4村と合体して市制。1955年北里村,1958年武佐村を編入。2010年安土町と合体。中心市街地の八幡地区は天正13(1585)年,豊臣秀次築城の八幡山城の城下町で,江戸時代には商人の町として繁栄,近江商人を生んだ。薬品,帆布,瓦,皮革,押し絵などの伝統工業が特色で,1964年工業団地の建設により,カーボン,アルミニウム製品などの工業が進出した。農村部では米,ムギを産し,乳牛飼育も多い。沖島を中心に湖面漁業も行なわれる。織田信長の居城であった安土城跡(国の特別史跡)のほか,老蘇森(→老蘇),瓢箪山古墳大中の湖南遺跡,観音城跡(いずれも国の史跡)がある。長命寺(国の重要文化財)は西国三十三所第31番の札所,観音正寺は第32番の札所。日牟禮八幡宮左義長(→火祭)が有名。円満寺,願成就寺,桑実寺(くわのみでら),安土城跡の摠見寺(そうけんじ)など,国の重要文化財を所蔵する古社寺が多い。湖辺の低湿地は「春色・安土八幡の水郷」といわれ(→水郷),琵琶湖八景の一つ。湖岸一帯は琵琶湖国定公園に属する。国道8号線,477号線,JR東海道本線が通り,近江鉄道八日市線の終点。面積 177.45km2。人口 8万1122(2020)。

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