迷子(読み)まいご

精選版 日本国語大辞典 「迷子」の意味・読み・例文・類語

まい‐ご まひ‥【迷子】

〘名〙 (「まよいご(迷子)」の変化した語)
① 道に迷ったり、親にはぐれたりなどして家に帰れないでいる子ども。まえご。
※雑俳・類字折句集(1762)「新町を迷子呼んだり覗いたり」
② 紛失してしまって、見あたらないもの。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)二「撥をば何所かどう迷子(メヘゴ)にして仕まった」
③ 江戸時代に、迷子①が出ると、町内のものが一団となり鉦や太鼓などを打ち鳴らして大声で呼び歩いた「迷子捜(まいごさがし)」をいう。
※人情本・吾嬬春雨(1832)前「お初どん、私はね、昨夜迷子(マヒゴ)が来て、実に実に怖くって」
歌舞伎の下座音楽の一つ。迷子捜しのときの鉦・太鼓を音律化した鳴物。「白浪五人男」の稲瀬川勢揃いの場などに用いる。

まよい‐ご まよひ‥【迷子】

〘名〙 道に迷ったり、親にはぐれたりして、さまよっている子ども。まいご。
※大観本謡曲・水無瀬(室町末)「いとど心の迷ひ子に、親と名乗らんは」

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デジタル大辞泉 「迷子」の意味・読み・例文・類語

まい‐ご〔まひ‐〕【迷子】

《「まよいご」の音変化》道がわからなくなったり、連れにはぐれたりすること。また、その子供やその人。まよいご。
[類語]ロストボーイ

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改訂新版 世界大百科事典 「迷子」の意味・わかりやすい解説

迷子 (まいご)

今日では,外出中道に迷ったり,親にはぐれたりなどした子どもをいうが,古くは,原因不明の幼児の失踪を指す〈神隠し〉と同義であった。明治時代の中ごろまで,ときにはそれ以後も,農山村や都市で,とくに農村では麦の刈入れに忙しい春の一時期,時間的には夕刻の薄明のころに,突然子どもが原因不明の失踪をすることが少なくなかった。そんなとき,人々は子どもが天狗狐狸(こり),あるいは鬼や隠し婆などに連れ去られたのだと考えて,町内の衆が手に手にちょうちんを携えて集まり,鉦(かね)や太鼓をたたきながら,関東では〈まいごのまいごの○○やーい〉,関西では〈かやせ,もどせ〉と唱えて,夜どおし近辺をねり歩いたという。その後,いわゆる意識の近代化が進む過程で,〈神隠し〉というような観念は徐々に失われるようになったが,その痕跡は,住所,氏名,親の名まえなどを記して,常時,子どもに身につけさせておく〈迷子札〉が,高度経済成長期の始まるころまで人々の間にかなり一般的であったことなどに投影されていたということができよう。
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世界大百科事典(旧版)内の迷子の言及

【捨子】より

…捨子が見いだされた町村住民の養育負担法は以後も問題となったが,この負担を避けるため,住民自体が他所から子を捨てにくる者への監視を強めることになり,かえって人目につかぬ地への,拾い手を期待できない捨子を増加させた。捨子と迷子との区分も問題となり,幕法では歩行可能なものは迷子とした。以後,捨子養育負担問題をふくめて捨子廃絶策が論じられたが,間引きの廃絶策と共通の問題となり,人口調べの徹底と妊婦登録制を必要とするに至った。…

※「迷子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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